戦場に際し開き、詰まる距離

「話は終わりか?・・・んじゃ俺ちょっと外に出るから付いてくんなよ」
「ちょっとルーク、勝手な行動を取らないで」
「・・・手洗いに行くんだっつーの。一々言わせんなよ・・・」
「あっ・・・ごめんなさい」
話を打ち切り外に出ようとするルークに案の定ティアが厳しい声を向けてくるが、軽く頬を染め恥ずかしげに返され流石に気まずげに謝ってくる。
(手洗いが部屋にないのが幸いしたな・・・まぁタルタロスは住居としての機能じゃなく戦艦としての機能を要求されてるから、手洗いを各部屋に設置するってのはあんまり意味のないことなんだろうしな)
その内心でルークは手洗いが部屋にないことに感謝と、タルタロスの構造についての考察を浮かべる。
「んじゃな」
それで気を取り直し一言残しルークは部屋を出る。誰も後に付いてこない状態で。



・・・とは言うもののジェイド達の元に直で行くのもと思い時間を空けるため、一応手洗いに行く道をマルクト兵士に聞いてからトイレに行って少し時間を潰して、ルークは皆がいるという部屋の方へ向かった。



「・・・おや、どうされたのですか?」
「手洗いに行ってただけだよ。つーか話は終わったのか?」
「えぇ、話はまとまりました。あちらは元々キムラスカに向かう予定との事でしたから共に向かう事にはなりましたが、ギルドとして雇う予定は無いのと道中は安全に向かう予定なので、貴方の護衛をするというのならその料金はキムラスカに請求するようにということになりました」
「・・・自分達が金を払うつもりはねぇのか?」
「こちらとしても大分破格な交渉なんですよ?何せキムラスカにまでこのタルタロスに乗せる事を了承しましたし、軍事機密を知る方々の身柄を拘束しないのですからね。それだけでも十分なお釣りが来てもおかしくないんですよ。貴方が分かるかどうかは分かりませんが」
「一言多いんだよ、お前・・・!」
そこで通路で歩いてきたジェイドとかち合ったルークは早速と状況確認にと会話をするが、いかにもらしいと言える言葉に軽く怒りを見せる。
「まぁ気になさらないでください・・・それでは私はイオン様達に説明をするために部屋に向かいますが、一緒に戻りますか?」
「誤魔化してんじゃねぇよ、ったく・・・つーかそうしようかと思ったけど、何かイライラすっからあいつらんとこ行ってくる・・・俺はお前らとなんか関係ねぇって言いにな」
「そうですか、ではご自由に」
軽く受け流すジェイドが戻るかと誘ってきた事にルークがむしゃくしゃしてるといったように返すと、余裕と言った笑顔を浮かべてから部屋の方へと向かう。
「・・・よし、んじゃ行くか」
その姿が遠くなったのを確認してから決意を固めた表情を浮かべた後、また表情を苛立たしそうにして部屋に向かう。アドリビトムの面々がいる部屋へと・・・



「・・・あ、どうしたんだい?」
「どうもこうもねーっつーの・・・なんでお前らまで一緒に向かうことになんだって言いに来たんだよ。それとここから降りろって事もな」
「それは出来ないわね。こっちもマルクトからキムラスカに楽に向かえるようになったし、もしかしたらファブレの家から謝礼をもらえるかもしれないしね。そんなチャンスみすみす見逃すつもりなんてないわよ、こっちは」
「・・・っ」
それでアドリビトムの面々がいる部屋に来たルークはクレスの笑顔に迎えられたのだが、降りろと不機嫌に言いはしたもののルーティから即座に拒否を返されそっと息を呑む。
(やっぱりそうなるよな、ルーティとかの性格を考えると・・・やっぱり頭を下げてでもどう変に思われてでも説得する・・・今すぐ皆にここを出てもらう為に・・・!)
その答えに内心でルークは決意を固める。正体を見せてでもここを出てもらおうと。そして再び口を開き・・・
‘ゴォンッ’
「っ!?」
(まさか・・・もう神託の盾が!?前よっかなんか早い気がするぞ、これ・・・!)
・・・かけたが、タルタロスがその身を大きく揺らした事にルークは体勢を崩しながらもたまらず口をつぐみ、来襲のタイミングの早さに驚いていた。






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