心は揺れ動く、良くも悪くも

・・・またもや二手に分かれて動くことになったルーク達。その片方のルークが乗ったダイクロフトの方へと場面は移る。






「ルーク~♪」
「ルーク~♪」
「・・・なぁ、誰か止めてくれよ。二人を」
「ふふ、こういう機会でもないと今の状態じゃルークと会えないんだから少しは我慢しなさい」
「・・・ロイドはまだいいにしても、エステルは頼む。少し自重してくれ・・・」
「え~、なんでですか~?折角ルークと一緒にいられるのに~♪」
「・・・勘弁してくれ」
・・・夜になってミュウも寝静まった頃にまで時間は進み、寝床に置いてきてから部屋を移動したルークなのだが・・・只今、満面の笑みのロイドとエステルに片方づつ腕を取られて抱き抱えられていた。
疲れたような声で周りに助けを求めるルークにリフィルが笑顔でやんわり拒否を返し、せめてエステルは止めてほしいと言うが一層強く嬉しそうに抱き着いてくる姿にげんなりする。
「まぁいいだろ。話ならそのまんまでも出来るだろうしよ」
「面白がるなよスパーダ・・・って言うか本当に大丈夫なのか?ダアト式にユリア式の二つの封呪の解除は出来るっていうか、出来てるって・・・」
「その点は大丈夫だよ、ルークが心配することじゃない」
スパーダはその姿に明らかにニヤニヤしながら話しかけルークは仕方なさそうにそのまま話を始め、クレスが大丈夫と太鼓判を押す。



・・・それはグランコクマの宮殿を出た後の事であるが、よくよく考えればダアト式封呪の扉はイオンの力なしにどうやって開けるのか・・・そういった疑問が出てきたのだ、ルークの中から。しかしその疑問についてはもう既にタタル渓谷にザオ遺跡のセフィロトへの扉は開いているとの調べはついている、そうアドリビトムの面々が言った事でそのままイオンはユリアシティに向かうということが決定したのだ。なら心配はいらないと。
ただ何故そうなっているのか、理由を詳しく知らないルークは疑問を抱いたのだ。ダアト式譜術を使わず、どうやって扉を開いたのかと・・・そしてティアはユリア式封呪の解除の為にいなくて大丈夫なのかと・・・



「心配することじゃないって言ってもなぁ・・・」
「大丈夫ですって!それよりいっぱいお話しましょうルーク!」
「いや、俺と剣の訓練が先だ!やっぱ負けっぱなしのままじゃ悔しいからな!」
「ちょっ、二人とも・・・」
クレスの言葉にルークは尚も聞きたいとばかりに発言しようとするが、嬉しそうにブンブン腕を振る二人に言葉が途切れてしまう。そんな光景をクレス達は微笑ましそうに見つめていた・・・





















・・・一方時間は進み、ユリアシティに向かうティア達へと場は移る。



「・・・やっぱり向こうの組はすごく静かになっていますね・・・」
「ある意味必然と言えば必然だろう。イオンだけはどうにかしたいと思いながらも先の事があるから下手に触れることは出来んと感じ、どうとも言い難い気持ちを抱いているのだろうがな」
ケセドニアにて、ケテルブルクからの船を降りてダアトに向かう船に向かう一行。その中でミントのひっそりとした声に、リオンが当然だろうとばかりの響きで返す。



・・・グランコクマからこのケセドニアに至るまで、アドリビトムの面々はティア達が仲良くどころか何かについてを普通に話す姿など全く見ることはなかった。更にアドリビトムの面々にも話しかけてくることもなかったのだが、それは元々に近かったので別に置いておこう。

しかしここで意外だったのは話が全くなかったからということではなく、ある人物の行動が全くなかったからだ。勿論、その人物とは・・・











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