手を出す覚悟と受け入れぬ心

「・・・皆さんの仲がいいというのは見ていてよく分かります。皆さんは長い時間を共に過ごしている事もあるでしょうし、共通の目的があるからというのが大きいからだと思います。ですが僕達にはそれがないと、先程のやり取りでそう思ったんです・・・一緒に同じことをやってはいても、目的も意識も違うと」
「・・・そう感じたからこそ、話にあったようなことがいつかは起こっていたのではと感じたというのですか?」
「はい・・・今まで揉め事があってもそれはどうにかなってきたから大丈夫だと思っていたんですが、それらも今思えばさっき起こったことの前兆だったのではと思うんです。まるで爆弾が爆発する為の導火線が燃え尽きていくかのような、そんな状態の・・・」
「「「「・・・」」」」
イオンはそこから自分の考えた事についてを漏らしていくのだが、実感が言葉にこもっていると嫌が上にでも理解させられる悲し気な目にユージーンを始めとして一同は何とも言えない空気になる。
「・・・ですが、今の状態ではそういった状態であるからといって貴殿方が離れる事は望ましい物ではありません。そして今更離れる事も出来るはずもない・・・最早それが出来ない段階にまで来ています」
「はい・・・それは」
「お分かりなら、それでも仲良くしてもらいたいと考えるのは止めておいた方がいい・・・貴方が爆弾の例えを用いたからこう返しますが、それこそそこが爆弾の爆発の瞬間になりかねません。一つ間違えればそれこそ取り返しのつかない状態になる形で」
「っ!・・・分かりました、僕は大人しくします。今以上にティア達の状態が悪くなることは、皆さんからしても望ましくないことだと思いますから・・・」
それでもユージーンは口を動かして話を進めて仲の修復に関して働きかけた場合の危険性についてを言い、イオンは苦渋の表情で頷く。もうこれ以上の状況の悪化を早める訳にはいかないと理解させられ。
「すみませんでした、導師。このような話をしていただいて」
「いえ・・・僕は少し別の部屋に行って休ませていただきます。色々言いはしましたが、まだ頭の中がちゃんと整理できていなくて落ち着いて考えたいので・・・」
「分かりました、ゆっくり休んでください」
「はい、では・・・」
それでユージーンが軽く謝るとイオンは晴れぬ表情のままで部屋を出ていく、まだどうしようもない気持ちを抱えたままで。



「・・・導師があんな風に考えているとは、正直意外だったな」
「確かに一番そういった考えと無縁そうな人物だとは僕も思ったが、イオンはあの中でも戦えないということもあり少し視点が違うのだろう。アッシュ達が言い争う姿を中に入ることなく見るという点でな」
「・・・成程、外から見るからこそ分かったということか」
それで場にアドリビトムの面々が残った所でユージーンがそっと呟いた声に、リオンの考えの中身が返ってきた事に納得する。イオンがあぁ考えたことはあながち偶然ではなかったのだと。
「まぁ港に着くまでにそういった事が起きるというのは意外ではありましたが、導師の言ったよう遅かれ早かれ起きることではありました。僕達の思っていた通りにです」
「後は勝手にティア達は関係的にギスギスしていくことでしょうね。そしてルークや色々な事に考えを集中させようにも次第に難しくなっていく・・・妙な事を起こされる事に関して警戒さえすれば、後はうまくいくでしょうね」
そしてヒューバートとヒルダの言葉に他の面々もまた同意する、この仲違いの起こっている状況こそアドリビトムの狙った状況と言い含めた事に・・・















心は集まった所で一つになるものではない



あくまでも近しくなるだけである



引き離された心は遠ざかる、まとまることから



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