手を出す覚悟と受け入れぬ心

「・・・決まりだな。人員の振り分けに関してはお前達に任せよう。こちらが決めるよりはその方がお前達からしても収まりがいいだろうしな」
「我々はそれで構いませんが、陛下はどのようにされるのですか?」
「こちらはキムラスカとダアトに手紙を送ることにする。和平についての手紙をだ。ただパッセージリングの操作前と操作後の、二つに分けるつもりだがな」
「・・・成程、手を差し出して拒否されても更なる外殻大地降下が為された後の動揺を狙った上で手を差し出すということですか。確実な成功を狙うために」
「今の状況では向こうも一回でははいそうですか、とは簡単に頷けんだろうからな。状況が状況だからな。だから二回出す・・・流石に向こうもケセドニアもそうだがバチカルから目と鼻の先のザオ遺跡付近の外殻大地が落ちたとなれば、こちらと話をせざるを得ないだろうしな。状況の打開の為にもな」
ピオニーもそれでいいと話を進めていく中ヒューバートからどう行動するのかと問われると、二回手紙出すとその意味も合わせて言い周りの面々も中身に納得したように頷く。
「ただ、キムラスカはこちらに任せてもらってもいいとは思うが・・・ダアトに関してはユリアシティに行くお前達がどのように行動出来るかにあると思うから、心して行動してくれ。モースがいなくなったこともあり、尚更にな」
「・・・はい、それは」
「・・・よし、なら早速準備を整えて出発してくれ。いいか?」
「はい、では我々は失礼します・・・」
そしてダアトへの重要性を説いた上で出発を願うピオニーにイオンが答え、頭を下げて一同は場を後にしていく・・・









・・・それで一同は宮殿の外に出た所で立ち止まる。
「・・・陛下が言われたように三人はユリアシティに行くのは確定させていいでしょうが、私もユリアシティに向かいましょう。マルクトの意志を伝えるという意味でもそうした方がいいでしょうからね」
ジェイドはその中で自身もユリアシティに行くと言い出す、マルクトの為にもと。
「・・・私もユリアシティに向かわせていただきます。キムラスカの人間として、そちらの方々の説得をしたいのです・・・」
「ナタリア・・・?」
続いてナタリアもまたジェイドに同調するような形で行くと言うのだが、明らかに暗い面持ちのその様子にアッシュは何事かと心配そうに眉を寄せる。
「・・・俺はどっちでもいいんだろうけど、パッセージリングの操作の方に行くわ。あんま下手に揉めてまとまりのねー状況でユリアシティの奴らと会うわけにも訳にもいかねーだろうしよ」
「っ・・・」
そしてルークは自分も決まりだとばかりにパッセージリングの操作側に行くと言うと、ティアはそっと歯を噛みそんな姿を睨むように見据える。
「なら後は僕達がどのように分かれて行動するかだが、パッセージリングの操作をするならダイクロフトで行かねば降下に巻き込まれてしまうからな。だからパッセージリング側は船を経由してケセドニアに向かうのではなく、ダイクロフトで直接現地に行くぞ。その方がもしもの行き違いがなくていい」
「そちらはその方がいいでしょうね・・・ただこちらはもしもの場合が有り得ますので、ユリアシティ側には人員を多く配置してください」
「あぁ、分かっている。ただ船の方に行って少し待て、どのように組分けをするか少し話し合いたいのでな」
「まぁいいでしょう、待っている間暇ですからね・・・では言いたいことがなければ行きましょうか、皆さん」
それでリオンがパッセージリング組の移動方法からアドリビトム側の組分けについてを話し、ジェイドはその話に頷いてティア達を率いて場を離れていく。船着き場に向かうために・・・







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