手を出す覚悟と受け入れぬ心

「・・・ならばこそ、俺は一層ユリアシティの住民に接触するべきだと思う・・・むしろ後回しにすればするほどあちらがどう今は感じているのかは知らんが、もし外殻大地や障気の危険性が無くなったものと考えたなら戦争を是が非でも起こさせるためにまたキムラスカと結託しかねん・・・そうなれば厄介な事になるのは目に見えている。戦争が起こされる展開にでもなればもう終わりだ」
「・・・なら、陛下はユリアシティに行くべきだと?」
「現状でユリアシティが危険だという可能性は否定出来ん・・・が、時間をかければかけるほどあちらの考えは預言を達成させる方に傾いてくるだろう。なら今あちらに行くのが俺は最善だと思うが、お前達はどう思う?相談するかしないかはそちらに任せるから、少し考えてみてくれ」
「「「「・・・」」」」
そして考えをまとめたピオニーはユリアシティに行くことについて案を出し、ルーク達に考えるように言うと誰も言葉をかけあうことなく沈黙する。アッシュとナタリアでさえも顔を見合わせない形でだ。



(・・・まぁ確かにこの辺りでユリアシティに行きたいところだな。なら俺が話をどうにかそっち方面に持っていった上で別の方にも話題をやるか・・・このまま黙ってても話が進まないだろうし、ならそれ以外どうするんだって話になるしな・・・)
そんな中でルークは自身でどうにかしようと考える。話の中身に賛同するが為に。



「・・・えっと、話の中身は分かったんですけど・・・タタル渓谷とかザオ遺跡のパッセージリングはどうするんですか?それをどうにかするようにしないとって言ったのは陛下だと思うんですけど・・・」
「・・・そうだな、その件もあったか・・・それならもう一度、お前達には二手に分かれてもらった方が都合がいいかもしれんな・・・」
「二手に・・・?」
静寂の中慎重といったように問いを向けるルークに注目が集まり、ピオニーも納得した上で二手にとの言葉を漏らす。
「先のベルケンドとシェリダンで二手に分かれて行動してもらっただろう、手間を省く為にもと。ならば今回もそうすればどちらもうまく進められると思ったんだ・・・単純な発想と言えばそれまでだが、一度成功していることもあるしこの上ない効果的なやり方だと思うが・・・どうだ?」
「・・・確かに、現状ではそれが妥当かと思われます。また下手に一方に時間を取ってもう片方を疎かにするわけにもいかないでしょうし・・・他の皆さんはどう思われますか?」
「「「「・・・」」」」
「・・・どうやら反対という方はいないみたいですね」
ピオニーはその訳を単純な物と説明し、ヒューバートが納得した上で他の面々に問い掛けるが反論の様子がないことに一つ頷く。
「・・・じゃあユリアシティに行く奴らと、パッセージリングに向かう奴らってまた分かれる事になんのか・・・」
「今の流れならそうなりますが、ユリアシティに向かう方にはティアに導師にアッシュさんが行った方がいいでしょうね。ティアはユリアシティの人々と顔見知りである事からいてもらった方が話を進ませやすいでしょうし、導師にアッシュさんもいてもらった方が話を聞きやすくなるでしょう。特にアッシュさんに関しては謡将の企みの事を強調するにはうってつけになります」
「・・・フン、気に食わねえ言い方だが確かにそうだろう。ユリアシティの奴らがヴァンの企みを知っているはずねぇからな」
「・・・僕もそれで構いませんが、ティアも大丈夫ですか?」
「・・・はい、私は大丈夫です(ちょっと・・・この流れだとアッシュにナタリアは私と一緒にはなっても、ルークは付いてこない流れじゃない・・・でもこの流れでルークも付いてくるように言ったってアッシュが文句を言うだけなのは目に見えてるし・・・もう・・・!)」
ルークが決定路線となった話に考えるように声を上げるが、ヒューバートの発言からの流れにティアは不本意という空気を隠そうとしながら頷いた。アッシュとイオンの二人というかアッシュが納得している以上、自分が否定を返せば空気が読めてないのは自分だけになるという事実を前にして。








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