手を出す覚悟と受け入れぬ心

(ちょっと、どういうこと・・・なんでこの人達って言うか、向こうに向かった四人がそんなことを・・・!?)
一方でティアは衝撃の事実を聞かされてピオニーとアドリビトムの面々にブンブンと顔を振る、混乱覚めやらぬと言ったのが丸わかりな様子で。
「へ・・・陛下、それは一体どういうことなんですか・・・?」
(っ、イオン様・・・今はイオン様に任せて、私は話を聞いて落ち着かないと・・・)
そんな中でイオンが愕然としながらも聞かずにはいられないと口を開いた事でティアは多少落ち着きを取り戻し、傍聴に徹することに決める。
「・・・なんでもダイクロフトの面々はモースを生かすことは後の禍根を生みかねないと考えていたそうだ。その思想もあってな。だがキムラスカのバチカルにずっとこもりっぱなしのモースを表に引きずり出すなどまずまともな手段では出来るはずもない・・・そう思っていた時にダアトに戻るモースの事を知ったからこそ行動に移そうと、独断ながらも以前から話し合っていたこともあり急遽モースを追うことにして・・・ダアトに戻って一人になった瞬間を見計らい、モースを殺したとのことだ」
「そんな・・・何故、何故その事を僕に言わなかったのですか・・・皆さん・・・!?」
ピオニーはその手紙にあったと思われる中身を噛み砕いたように話していき、イオンはその中身を受けてアドリビトムの面々に泣きそうな表情と声で訴えかける。その姿に一部の面々は苦痛そうな表情を浮かべるが、クレスがその面々を代表するように口を開く。
「・・・その件に関して、黙っていたことは謝罪します。ですが、言えば確実に導師から反対に合う・・・そうなると分かっていたからこそ、何も言えませんでした」
「だからと言って、何も殺すなんて・・・」
「・・・正直、こちらの中でもモースの事に関してそれでいいのかという話になりました。そんな手段を使うべきなのかと・・・ですがモースをまともな手段で裁けるのかもそうですが、裁けたとしてもそのままモースがすんなりと言うことを聞くとは思えない。そんな状況でもしモースが形振り構わない行動を取って被害が出たり、戦争が始まるなんて事になったらそれこそ取り返しがつかない・・・だから僕達は選んだんです。そうならないようにするためにモースを殺す・・・という選択を」
「っ・・・クレスさん・・・」
その第一声の謝罪から二人の間で会話が交わされるが、クレス自身も苦渋の決断だったと語るような表情にイオンはそれ以上の追求が出来ずに名を漏らすだけしか出来ない。
(・・・向こうも悩んだ上での決断みたいに言ってるけど、確かに効果が望める事が腹立たしいわ・・・モース様が死んだとなれば外殻大地が落ちたのもあって、お祖父様達も変に動くことは出来ないでしょうしイオン様が動くことが容易になる・・・そうなること自体はありがたいけれど、やはり彼らがそうしたという事は受け入れがたい・・・!)
ティアはその効果について認めつつも、やはりアドリビトムの面々がそうしてきたことに関して苛立ちを覚えてしまう。嫌うが故に、どうしても。



「・・・悲観に暮れている所に悪いが導師、それに他の面々にも言わせてほしいのだがモースをダイクロフトの面々が殺したという事実・・・これはけしてこの場にいる面々以外がいる場で口にするな」
「っ、どうしてですかピオニー陛下!」
「この場にいる俺達が最終的に目指すべきはキムラスカもそうだが、ダアトにユリアシティとの和平を通じての友好的な関係だ。預言をよる戦争を起こさせない為にもな・・・だがそんな中で俺達と言うか彼らがモースを殺したなどと明らかになったら、全て台無しだ。あちら側は俺達の事など信用に値するはずなどないと突っぱねてくるだろう、いかに戦争を止めるためとは言えモースを殺すという手段を取った者達と和平を結べるかとな」
「・・・っ!」
そんなティアの内心など知ることなくピオニーは話を進めモースを殺したことについて秘密にするよう言うが、ナタリアが勢いよく食って掛かってきたため言えば確実に失敗すると返すとすぐに悔しげに口ごもる。そんなことないとは言い切れない為に。










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