「そしてその法とも呼べる預言を廃し、どうにかモースを裁けるとなった時にも以前にもあったというモースが囚われの身から助けられたとなって何か行動を起こしたなら、私もモースを倒すかもしくは裁く事には異論はありません・・・ただ、モースがそうしてからでは遅い。そう皆の間で話が出たからこそ悩むとともに、決断したのです。例え批難を浴びようとも、被害が出る前に自分達の手でモースを止めようと・・・それが、感情として納得出来なくても理屈として我々が出した総意になります」
「・・・そう、なのか・・・その気持ちは分かる、俺もそう思ったから・・・分かるけど、俺に言ってくれたら・・・」
そんな話からモースを止めるためにいかな話し合いがなされてきたのか、また納得する者としない者が出てきたのか・・・その事を確かに感じられるフレンの語り口に納得しつつ、ならばこそ自身に話をして欲しかったとルークは辛そうに言う。
「・・・その件に関しては確かに我々もルーク様に伺いを先に立てるべきだったと、話に上がりました・・・ですが、もしそうなったとしたとしても皆はルーク様に手を下す事を認めるような事はなかったと思われます」
「・・・どうしてだ？」
「現実的な理由を上げるなら、今の状況でルーク様がモースにバレることなく近付く事が難しい事にあります。話に聞く限りではモースは基本的にダアトにキムラスカを行き来はしても、必要ない限りは外にと言うか大衆の前に姿を現すことはないのでしょう。そんな中でルーク様が慎重に行動したとしても失敗に終わる可能性が高く、我々もどうするかと考えていたのですが・・・モースがバチカルからダアトに戻ることは意外な物でした。そしてだからこそユーリ達もあぁやってとっさに行動したのだと思われます。千載一遇のチャンスだと」
「・・・まぁ確かに現実的に見りゃモースがまともに人前に姿を見せるとはあんまり考えにくいし、俺一人じゃうまくいったかどうか微妙な所じゃあったかもな・・・でもその言い方だと、まだ別に何か理由があるのか？」
フレンはその姿に若干気まずげながらも現実的な理由とモースの行動パターンについてを上げ、ルークは納得する一方で話し方から別の理由があるのではと問う。
「・・・今となっては皆の考えは多少変わりましたが、元々の目的は我々が汚れ役を務める・・・そうルーク様に告げる事でした」
「それはっ・・・いや、それが今は違うんなら今の目的は何なんだ・・・？」



「貴方だけに手を汚して欲しくない。汚すなら我々か・・・それが叶わないならせめて、共にその手を汚したい。そう思っています」



「っ！？」
・・・ここに来てフレンがまっすぐに、それでいて迷いを見せずに紡いだ決意にルークは驚愕に目を見開いた。共に手を汚す、その言葉の重さもあいまり。
「・・・ルーク様にとっては本意ではない、ということは重々承知しています。ですが我々からすれば貴方が一人、そのまま罪を背負い歩む事の方がより本意ではないのです・・・貴方をまた失うよりは、遥かにいい・・・」
「っ・・・そ、れは・・・」
その姿に自身の気持ちを仲間の気持ちと共にフレンは口にするが、最後の方で悲し気に目を背ける姿にルークは言葉を紡げなかった・・・結果としてルミナシアで皆を置いて消えた事実は事実で、言い訳など出来るはずもないと感じてしまった為に。









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