手を出す覚悟と受け入れぬ心

「モースが死ぬって・・・それもユーリ達が殺すって、なんでそんなことを・・・!?」
・・・ルークは何故とフレンに問い掛ける。馬鹿な選択をするなと非難しかねないばかりに。だがフレンの表情もまた明るい物とは呼べない、苦み走った物であった。
「・・・私も、正直な所そのような手段を取ることなど本意ではありませんでした・・・ですが、被害を未然に防ぐ為にはこれしかないと皆の間で出た結論がこれだったのです・・・ルーク様と同じように・・・」
「・・・じゃあ、今頃本当にモースは・・・!?」
「・・・はい。ただ流石に彼らが目立てば立場が悪くなることに加え、モースの死体が見つからねば後々の流れがどうなるか分からないことからユーリ達も細心の注意を払って行動していてまだ行動に移していないとも考えられます。しかしそれも、数日の内にはカタがつくと思われます」
「っ・・・!」
そのまま説明をするフレンだが中身が中身で、真実を指し示していると否応なく理解させられる物なだけに愕然とした表情をルークは浮かべた。
「・・・なんで皆・・・せめて、俺にだけでもその事を言ってくれなかったんだ・・・」
「・・・ルーク様もそうですが、導師を始めとした面々がそのようなことを許可するとはまず思えなかったからです。ジェイドさんにアッシュ様はおそらく別になるでしょうが、だからこそ話をするとなれば理屈ではともかく感情として受け入れるかどうかといった話になり結論としてこちらを止めにかかるのではと考えられたから・・・になります」
「・・・確かにそうなっただろうとは思う。今のティアはともかくイオンにナタリアはまず間違いなく、モースを殺すことには確実に否定をしたと思う・・・けどそれで皆もそうだし、フレンが心地よく思ってないって事を踏まえた上であえて了承したってことの方が俺はなんでって思うんだ・・・どうしてなんだよ、フレン・・・?」
「っ・・・」
何故とルークは力なく問いフレンは晴れないままの顔で律儀に理由についてを答えていくのだが、それを決断したことを泣き出しそうな声で問われ視線を一瞬背ける。が、すぐに目線をルークの方へと戻す。
「・・・以前の船での話。実はあの時に私はルーク様にこの事をお伝えするおつもりでした。ですが不覚にもルーク様の決意を目の当たりにした時、私はその話をすることが出来なかったのです・・・我々を巻き込もうとせず、自分だけが罪を背負おうとする姿に事実を事実のまま伝えていいものか・・・そういった迷いが出てきて・・・」
「・・・そう、なのか・・・」
フレンはその時の事を葛藤を当時のままに滲ませるように明かすと、ルークも自身が理由な事もあり否定も肯定も出来ずにただ受け入れるしか出来ない。
「・・・ただ、こうやって改めてルーク様とお話をするからには全部話させていただきますが・・・法による裁きを抜ける人物について前に話をしましたが、現状のモースは正にそれです。それこそ今のモースを裁こうとしたところで裁く事はおろか、預言だと言えばむしろ擁護の意見すら出てくる可能性は高いでしょう・・・このオールドラントにおいての現在の最高の法は預言と、そう言っても過言ではないのですから」
「っ・・・!」
法=預言・・・フレンからそう繋げられた言葉にルークは否定を返せず、言葉を飲み込んだ。今の状況ではそれこそそうとしか言えないとルーク自身が十二分に理解していた為に。









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