各勢力は手を打つ

「ただ、そのやり方はどのような物なのだ?その方法が簡単な物ならいいのだが・・・」
「その件に関しては簡単とはまず言えません。条件としては地核に行くことが必要になりますので」
「地核・・・星の中心とも言える場にどうやって・・・」
「それは事を進めれば解決しますが、我々に任せていただければその方法は用意致します。その前の問題としてはやはり、キムラスカと交渉のテーブルに立った上で協力関係になることでしょう」
「・・・やはりそちらを解決せねばならないか」
「えぇ、むしろそうしなければ後の危険にも繋がりかねません。もし魔界の障気に液状化した大地の問題が完全に解決したとモースを始めとした者達が考えたなら、外殻大地降下が済んだ時に預言を確実に実行せんと矛を引くこともなく戦争を仕掛けてくる可能性が非常に高い・・・そうなればもう戦争を止めることは出来ないでしょう。それこそ預言など関係無くどちらかが相手を滅ぼすまでは」
「っ・・・そうなれば元も子もないどころの話ではない、か・・・」
そこからピオニーは障気の解決についてを聞くのだが、ヒューバートから時期を誤った場合の事を聞かされ苦い顔を浮かべる。あまりにも無視するには重すぎる推測であった為に。
「はい。だからこそキムラスカと先に交渉すべきです。先程言ったように外殻大地が更に落ちたとなれば、いかにモースが強行しようとしたところでキムラスカも二の足を踏むのは目に見えていますので」
「・・・まぁそういう方面で話を進めるが妥当な所ではあるのだろうな。そして晴れて停戦にこぎ着けて和平を成せたなら、他に残る外殻大地の降下をする手筈になるというところか」
「はい、そうしなければ残りの外殻大地もいつ崩落するのか分かりません。キムラスカ側からしても自分達が領土ごと魔界にまるまると崩落してしまうのは避けたいでしょうから、賛同はいただけるでしょう」
「・・・となれば、そうする方面で話を進める方がやはりいいということになるのだが・・・」
その上でヒューバートが二つのセフィロトの操作に関しての利点を強調するように言えばピオニーはすんなり納得とは行かずに、悩ましげな視線をイオンに向ける。
「・・・導師、一つ聞くがモースの地位をどうにか剥奪する事は出来んか?」
「えっ・・・モースの地位をですか?」
「あぁ、キムラスカはまだ状況をうまく利用すればこちらの説得に応じる可能性は有り得るだろうがモースは別だ。その目的を考えれば一時外殻大地の降下に賛同したとしても、その後に危険は去ったと嬉々としてキムラスカをせっつかせて戦争に踏み切らせようとしてくる可能性は十二分に有り得る。そうならないようにするためにはモースから地位、もしくは最低でも発言権を剥奪出来ないかと思ったんだ」
「・・・そういうことですか・・・」
そんなピオニーから出てきたのはモースに対する警戒が相当に滲んだ対策を求める声で、イオンは納得しつつも表情を暗くする。
「・・・すみませんが、それはまず無理だとしか言えません。モースはその地位もありますが預言保守派の筆頭として見られている事もあり、私だけの意見ではモース自身もそうですが周りもまず地位や発言権の剥奪を認めてはくれないでしょう。そしてそれ以前にモースは私の方に責任があると私を責めてくる可能性すらあります。勝手にダアトを出た私を導師としての責務を果たしていないと・・・そうなればどうなるにしても事態を解決するのには時間が必要になるのは予想がつきますが、モースがその間にジッと大人しくしているとはとても・・・」
「・・・場合によっては導師自身にも被害が及ぶ可能性すら否定出来そうにないな、最悪の場合・・・」
そして返ってきたのはまず無理と詳しく説明していくイオンの言葉で、ピオニーもその中身に理解せざるを得ずに表情を歪める。可能性がないどころか、危険以外の何物でもないとの中身に。








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