各勢力は手を打つ

「・・・だが、確かに効果については十分に期待できるだろうな。ザオ遺跡周辺にタタル渓谷周辺の大地までが魔界に落ちるとなれば、いかにキムラスカにモースが強行しようとしても・・・いや、強行すればするほどに逆効果になる可能性が高いだろうからな。いかにモースが預言の事があるからと説得したとて、人々にそれらを受け入れられなければ反発が起こるのは避けられんだろう」
「外殻大地がもし更に崩落したなら・・・人々は戦争に向けて意気を高揚させるより、いつ自分達の大地が崩れ落ちる時が来るか分からない恐怖が襲いかかるでしょう。ただ手段としてあまり誉められた物ではない事は事実ですが、戦争にしないようにした上であちらに和平を持ち掛けるようにするためには、これくらいの事がなければまずあちらは受け入れてはくれなかったでしょう」
ピオニーはそこから気を持ち直して話を戻し、ヒューバートはこれで良かったのだと改めて告げる。
「・・・だがこれからどうすると言うんだ?確かに外殻大地降下をさせればキムラスカにモースは止まるだろうが、肝心の魔界の障気に液状化した大地をどうにかしなければ先に崩落したアクゼリュス同様にそこに飲み込まれ姿形も残すことも無くなるんじゃないのか?今もシュレーの丘近辺の土地が降りた事でカイツールを中心とした土地が魔界の影響を受けていると思うのだが・・・」
(あ~・・・ピオニー陛下からしたら当然の考えと言えば当然か。魔界に降ろせばそれで終わり、なんて問題じゃないんだから・・・)
しかしピオニーはまだ別の問題があると魔界の大地と障気についてを切り出し、ルークはその疑問についてを納得出来る物と内心で考える。ピオニーの立場なら当然考えるべき事と。
「・・・その事に関してですが、一先ずの応急処置という形になりますが解決策はございます」
「応急処置、だと・・・?」
(あ~・・・皆はタルタロスを使った障気の押し込みの手段の事を言うつもりなのか・・・超震動での中和は現状じゃまず不可能だしな、第七音素をレプリカ一万人分なんてレプリカの人達を作るのもそうだし集めるのも・・・)
ヒューバートがそこで応急処置と言ったことに、ルークは仕方ないと内心思う。超震動での中和を自分がやるにしても第七音素というエネルギーが無ければ一か八かの可能性すらなく、無断死ににしかならないと考えたために。



(・・・この人達、まさかあの禁書の存在まで知ってるの・・・!?)
・・・一方、今まで大人しくというか発言する気力すら湧いてなかった為に沈黙していたティアはヒューバートの発言に蘇るように驚愕していた。もしやと思い。
「はい。と言っても繰り返しますがあくまで応急処置に過ぎません。ですがその手段を使えばトラブルが起きなければ少なくとも数年単位は障気を出すことを抑えることが出来る上に、液状化した大地に降ろした外殻大地も呑み込まれる事は無くなると計算出来ています」
「・・・あまり長くないとは言え、そんな方法があるのか・・・だが何故そんな方法をお前達が知っている?」
「我々も創世歴当時の事については伝え聞く当時の様子から推測しか出来ませんが、当時は預言に詠まれていない技術やローレライ教団に従わない異端者などの書いた書物などを他ならぬローレライ教団が続々と摘発していったそうです。そして当時のダイクロフトの住民の方々はそんな技術や書物、そして人々を影ながら助けていたとも伝え聞いています。その中にその技術について書かれた書物があったか書いた当事者がいたのではないか・・・我々はそう見ています」
「成程、お前達の立場を考えれば有り得ん事じゃないということか・・・」
(・・・またこの人達というか祖先のせいで変わったことが出来てしまった・・・でも今の私がそれを言ってもおかしいだけじゃない・・・それに彼らの目的もそうだけどダイクロフトの成り立ちを考えると、彼らの先祖達がやったことを非難しても立場が悪くなるのは私の方としか思えないし・・・)
そしてそんな予想を裏付けるかのよう禁書の中身を匂わせるばかりか著者すら保護していたのではとばかりのヒューバートの言葉に、ティアは反論しようにも出来ないと活力が戻ってないのもありそう感じてしまう。








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