各勢力は手を打つ

「・・・ルーク様・・・」
・・・そんなフレンはミュウに声をかけた後に通路を歩いて別の船室に入ったのだが、その顔は悲痛の苦しみに歪んでいた。
「・・・大丈夫ですか、隊長?」
「・・・アスベル・・・」
「どうかしたんですか?ルークさんの所で一体何が・・・?」
「ミントも・・・すまない、変わったことはなかったんだが・・・ルーク様の考えを聞いて、どうにも居たたまれない気持ちになってしまったんだ・・・」
その部屋の中にいたアスベルとミントの二人に心配そうに声をかけられるが、フレンは表情が晴れぬまま答える。
「・・・何があったのかしら?」
「それは今から話そう・・・」
そんな様子にヒルダが先を促すよう声を向けると、フレンは力なくも何とか話すべく口を動かしていく。















「・・・というわけだ」
「ルークさん・・・まさか、そんな風に自分一人で考えていたなんて・・・」
「・・・俺から言わせてもらうなら、ある意味ではルークの考えつく所としては妥当な所だと思う。元々一人で行動しようとしていた事を踏まえればな。だがそう俺達の事を考えていた上で言われていたと思うと、フレンの気持ちは分からなくもないな・・・」
「「「「・・・」」」」
・・・それでフレンが説明を終えた所でアニーにウィルもまた重い表情になるのだが、二人だけでなく周りの面々も同じような表情になっていた・・・ルークの自身らに対しての気遣いもそうだがそこに伴われる決意が固まっていることが、嫌が上にでも自身らの心を揺さぶって来たが為に。
「・・・一先ずルークの気持ちについては置いておいて確認するけど、貴方は肝心の言うべきことについては言えなかったのね?フレン」
「あぁ、情けない事だけれどね・・・ただ落ち着いたらすぐに話に戻ろうと思っているんだが・・・」
「いえ、この際だからグランコクマに着いてからでいいと思うわ。彼に話をするのは」
「え・・・どうしてなんだ、ジュディス?」
その一同の中でジュディスが肝心の言うべきことについてを聞いてきた為にフレンが失態を認めて再度向かうと言い出すが、制止をかけてきたことに何故と眉を寄せる。
「今の話を聞いたからこそになるけれど、今言っても後言っても彼の心はそう変わらないと思うわ。多分彼は私達の出した結論について何故という言葉を投げ掛けてはきても、理由を聞けばその考え方から私達を責めるような事は言わないでしょう・・・彼はそういう人よ」
「だからって、それなら後でいいということには繋がらないんじゃないのか?それなら早目に行く方がいいと思うんだが・・・」
「彼はそれでいいと思うけど、今の貴方はまだ気持ちを整理しきれていないように思えるわ。必要なら私が代理で彼の所に行っても構わないけれど、貴方はそういった逃げとも取れる行動は取りたくはないでしょう?・・・他の理由もあって、ね」
「っ・・・あぁ、そうだった・・・!」
そんなフレンにルークの気持ち以上にフレン自身の気持ちが重要とジュディスは語るのだが、他の理由と聞いてフレンはハッとして覚悟のこもった表情に変わる。
「分かったなら今は気持ちを落ち着けて。グランコクマに着くまでは十分に時間があるわ」
「あぁ、そうさせてもらうよ」
そして再度落ち着くように言えばフレンは素直に頷く、ルークと面と向かって言い忘れたことをちゃんと落ち着いて言うために。







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