各勢力は手を打つ

「あ・・・話がずれましたが、そう言ったモースの行動というか思想は我々の中でも大きな問題となったのです。そしてその中でどういった対処をするのかといった話になったのですが、説得でどうにかならないのかというように言われたエステリーゼ様を筆頭とした面々と、実力行使以外に確実な方法はないと言った面々とで意見が分かれてしまいました」
「ん?・・・その言い方だとフレンはエステルの方の意見に賛同しなかったのか?」
「・・・正直な事を言えば、エステリーゼ様の意見に賛同したかったと言うのが私の本音です。ですが法により裁きを受けねばならぬはずなのに、地位を持ってその裁きを無いものとした者も私が見てきた中にいました。そんな私から見て、モースもまたそんな者と同じだと感じた時には話し合いや法に照らし合わせて裁くといった事は無理ではないかと感じてしまったのです・・・ただそれで情けない話なのですが、そうやってモースを止めるのを認める事は法に基づいた正しい手段は意味がないと認めてしまうと思うからこそ、私はどちらにも賛同が出来ませんでした・・・」
「・・・そうか・・・」
フレンはまた話がズレたとハッとした後に自身らの間で起きた話についてをするのだが、ルークからの疑問に表情を複雑そうに歪めながら返して否応なしに同じ表情にさせる・・・フレンの言葉は非常に重く、実感がこもっていると理解せざるを得ない物であった為に。
「・・・その上で皆で話し合いを続けたのですが、先に言ったレプリカ突撃の件・・・やはりこれが決定打となり、モースは物理的な意味で確実に止めねばならないと皆の間での結論になりました。ただ私もそうですが、エステリーゼ様を始めとしてその事に苦い気持ちを抱いている人がいるのは否定出来ませんが・・・」
「・・・まぁそりゃな。いくらそんな風に決断したって、皆が皆そう割り切れる訳じゃないさ・・・」
「ですが、ルーク様はそれを知って尚自らが手を汚す事を覚悟で行動されようとしていました・・・それも、一人で・・・」
「・・・さっきは俺に責任があるって言ったけど、俺は皆に手を汚してほしくないとも思っているからこそ自分でやろうって思ったんだ・・・フレンの言うように正しい手段じゃないっていうのはよく分かってるし、皆がそんなことを進んでやれるような人達じゃないってのも分かってる。だから皆にやらせるくらいなら俺がやるしかない、今ならよりそう思えるよ」
「っ・・・ルーク、様・・・」
それで再三空気をまた戻すようにフレンがアドリビトムの面々の出した結論についての話をするのだが、ルークからの決意の固さが垣間見える微笑と言葉を前にして絶句したように何とか名を口にする。
「・・・大丈夫か、フレン?」
「あっ・・・はい・・・申し訳ありません、まだ話をしたかったのですがこれで退出させていただきます・・・話の続きはまたしばらくしてから部屋を訪ねさせていただきます・・・」
「あぁ・・・じゃあまたな」
「はっ、失礼します・・・」
ルークはそんな姿に気遣いの声を向けフレンは何とかといった様子で返答し、頭を下げた後に部屋を後にしていく。
「・・・どうしたんだ、フレンは?俺なんか変な事を言ったか・・・?」
それで退出した後に一人になったルークは自分の発言がおかしかったのかと考える。フレンの気に障ったのかと思い・・・











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