各勢力は手を打つ

「・・・さぁ、とりあえず気を取り直そう。それで、おれに聞きたいことってなんなんだ?」
「あっ、そうですね・・・お話しします」
それでルークは空気を一新するよう用向きを問い直し、フレンもハッとした後に話すと頷く。
「お聞きしたいことですが、ルーク様は領事館で話された中身についてどのように感じられたかということです」
「領事館での話で俺がどう感じたか、か・・・」
「はい。ルーク様はあまり発言することはありませんでしたが、これからの事を考えると共に私達よりモース達の事をよく知っているルーク様からお聞きした方がいいと思いましたので・・・」
「そうか・・・」
そこからフレンはどう感じたのかと質問をし、当事者としての意見を真剣に求めてくるその姿にルークも真剣な様子を見せる。
「・・・俺としては戦争を止めて和平を結ぶためには、あれくらいやればそれでいいとは思ってる。けどそこから先、戦争をやらなくなったからってそれで絶対に安全だとは思ってない・・・何でかって言ったら師匠達の存在以上に、モースの存在があるからだ」
「モース・・・確か以前に戦争を無理にでも起こすため、マルクト軍に爆弾を持たせたレプリカの部隊を突撃させたとか・・・」
「あぁ・・・ユリアシティの人達はまだ事態を素直に受け入れてくれるだろうから大丈夫だとは思うけど、モースだけはどうしても諦めてくれるとは思えない・・・あいつにとって預言は達成すれば間違いなく繁栄が訪れるって確定してると思ってるから、なにがなんでも達成しようとするけど第七譜石の中身を知ったらそれは偽物だって信じようとすることはなかった。途中までは本物で、後からの中身は全くの偽物って断じてな・・・正直、俺から言わせてもらえばなんでそこまで都合のいい解釈が出来るのかも残酷になれるのかも分からない。けどこれだけはハッキリ言える・・・モースは二度と表舞台に出ることがないようにしないと、確実に犠牲が出る。戦争を起こせば滅びに向かうだけってのを知ってもそれを否定して、戦争を起こすためになりふり構わない手段を使ってきて・・・」
「・・・ルーク様・・・」
それでルークは自身が感じたことに考えた事についてを明かしていくのだが、絶対にモースが止まらないという事に辛いという気持ちを次第に滲ませていくその姿にフレンも何とも言い難そうに表情を歪める。
「・・・一つ、お聞きしますルーク様」
「・・・なんだ、フレン?」
「表舞台に出ることがないように、とはつまり・・・モースは死ななければならないと、そう言っているのですか?」
「っ・・・死ななければならない、とまでは言ってはいないけど・・・モースの行動で被害を被るような人を出さないようにするためには、確実に殺す必要があるとは思ってる。酷いことを言うようだけどな・・・」
「・・・ルーク様がモースを殺したくないという気持ちをお持ちなのは分かります。ただその言い方はもしや、自らが手を汚すとおっしゃるつもりなのですか?」
「・・・本当は誰にも言いたくなかったけどティア達、特にティアにはこの事は言わないでおく事を前提にして答えるけど・・・そのつもりだ」
「っ・・・やはり、そうですか・・・」
「・・・予想が出来てたのか?俺がそうするんじゃないかって」
「・・・今こうやって話していく内に、薄々とそうではないかと」
「そうか・・・」
そこからフレンがモースが死ぬべきかと言う中身から殺すつもりかと静かながら真剣に聞いてきた為に、ルークは覚悟を決めて正直に自身の考えを明かして天を仰ぎ見る。また自分の考えが読まれたという事実を前にして。












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