各勢力は手を打つ

(さて・・・とりあえずグランコクマに着くまでケテルブルクを経由するのもあって時間がかかるし、何をしようか・・・)
それで船に乗ったルークは甲板の上で考える、これからどうしようと。
「・・・ルーク様、少しよろしいですか?」
「ん・・・あぁフレンか、なんだ?」
そんな時にフレンが近付き自身に声をかけてきたことに、ルークは気だるそうに対応する。
「出来れば二人でお話したいことがあるのですが、よろしいですか?」
「二人でぇ?・・・まぁ暇だし別にいいぞ。んじゃ船室に行くが、お前はその時外にいろよ。話が終わったら呼んでやる」
「はいですの」
「んじゃ行くぞ」
「はい」
それで話をと言い出すフレンに面倒そうに同意しながらミュウにその間外にいるように言い、足下からの了承の声を受けて二人は船室に向かう。



「・・・で、俺と二人で話ってどうしたんだ?」
「いえ、少し気になることがあってそれを聞きたかったんです」
少しして誰もいない船室に来た所で素に戻るルークに、フレンは真剣な面持ちと固い口調を向けてくる。
「いや、それはいいんだけど・・・今の俺にそんな固い態度は取らなくていいよ、フレン」
「え?・・・それは、どういうことでしょうか?」
「まぁ何て言うか・・・今の俺って名実共に王族とか貴族って言うにはどうかなって状況にあるからだよ。こっちじゃレプリカって立場もそうだし、ルミナシアじゃ立場を捨てて国を出たしさ・・・だからって言うかなんというか、とにかく今の俺にそんな固くなった態度で接してほしくないんだ。そっちの方が俺もやりやすいしさ」
「ですが・・・」
「難しいっていうのはフレンの性格からよく分かってる・・・けど俺は今言ったようにどっちの世界からしても立場的に王族とかって言えるような物じゃないし、戻る気にはなれないんだ。だからすぐにってのは無理でも頼む、フレン・・・」
「っ・・・」
そんな姿に固い態度はやめてほしいと願うルークに何故とフレンは返すが、王族と呼べるような立場ではない事や自身の気持ちを盛大に含ませ頭を下げる姿に思わず息を呑む。
「・・・正直に言って、今の私にはどうルーク様と接するべきかという正解が何なのかは分かりません・・・確かにルーク様の言うよう、立場や取った行動を考えれば王族としての資格の剥奪は十分に有り得ます。ですが貴方はそれでも、私から見て人の上に立つ資格があります」
「俺に、人の上に立つ資格が・・・?」
だがフレンが意を決して返してきた言葉にルークは予想外と目を丸くする、人の上に立つ資格と聞き。
「ルーク様は自覚というより自信が無いからこそ意外に思われるかもしれませんが、貴方が取った行動は自分だけが得をすればいいだとか自分の保身の為といった人物達から遠くかけ離れた物です。むしろ真逆と言ってもいいでしょう・・・自分の為だけではなく、他者の為。そのような気持ちがルーク様には見受けられます」
「買い被りすぎだよ、フレン・・・俺にそこまでの物はないって・・・」
「いえ、私は確かにそう感じ取っています。そしてそれは他のアドリビトムのメンバーも少なからず感じている事だと思います・・・ルーク様は自身にそのような事はないとおっしゃいますが、私は今までのようにルーク様とお呼びしたいと思います・・・少なくとも私は、貴方の事を敬うべき相手ではないとは思っていませんので」
「フレン・・・ありがとう、俺にそこまで言ってくれて・・・」
フレンはそこから自分の思うことを語っていき、真摯な言葉を前にしてルークは心から礼を言い頭を下げた。自分の事を本心から認めてくれていると分かる為、その言葉にせめて報いようと。











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