各勢力は手を打つ

・・・ケセドニアに着き、マルクトの領事館で一泊したルーク達。朝食を済ませた一同は入口前に集まる。一部を除いて。



「・・・すいません、お待たせしました」
「あ?どこに行ってたんだよ、お前ら?」
その一部・・・すずにしいなにリオンが領事館に入ってきた事に、ルークが離れていた訳についてを問い質す。
「もしもの事があってはいけないと先に街の様子を伺おうと思っていたんですが、想定外の事態が発生しました。今現在、この街にモースが来ています」
「はっ!?モースがかよ!?」
「どうしてモースがケセドニアに・・・?」
「・・・あまり進まぬ状況に業を煮やした、と言った所ではないかと思われます。モースの様子を見ていた限りではあまり上機嫌なようには見えませんでしたから」
「成程、バチカルにいるだけでは状況の改善は出来ないと見て行動しているのではという事ですか」
だがすずからもたらされたモースの来訪との報告にルークとイオンは驚愕し、ジェイドは納得する。
「まぁそういうわけだから、もうちょいここで待ってからケセドニアを出た方がいいと思うよ。今イオンの姿を見つけたら、モースがどう行動してくるか分からないしね」
「どう行動、ですか・・・僕としてはモースに会って、色々と話をしたいんですが・・・」
「それは止めておいた方がいい。あの様子を見る限りでは導師の姿を見た瞬間、形振り構わずキムラスカの兵士を総動員してまで身柄を確保しようと動いてくる可能性がある。そうなればこちらも応戦しなければ危険だが、その場を納めるためには導師があちらに戻るなどしなければならない状況にもなり得る。そうなれば導師の身柄がどうなるか分からなくなり、最悪の可能性としてはマルクトや僕達の情報を是が非でも引き出さんとしてくることも有り得る。それこそ手段を問わずな」
「っ!?・・・まさか、モースがそんなことを・・・!」
「あくまで可能性の一つだ。そうならないにしても今導師に僕達から離れられたら、状況が一気にまずい方向に向かう可能性が出てくる・・・言いたいことは分かるな?」
「・・・はい、モースの元には行きません。もしもの事を考えた場合、危険に陥るのが僕ではなく皆さんの方だとなれば流石にわがままも言ってはいられませんから・・・」
次にしいなが外に出ずに待機するべきと言うがイオンが話をしたいと言い出したことにリオンが厳しい言葉と鋭く細めた目で制止をかけ、衝撃を受けながらも力なく頷くしかなかった。自身の気持ちだけを優先した判断など出来るはずもない、意外と頑固なイオンでもそう思った為に。
「ですが、モースがケセドニアに来るとは・・・どのような目的があっての事でしょうか?・・・ティアにアッシュ、神託の盾として少なからずモースの事を私達より知る身としては何か少しでも予想はつきますか?」
「・・・確信はねぇが、おそらく膠着して進まねぇ状況に飽きて痺れでも切らしたといった辺りだろう。あいつからしたなら預言がいつまで経っても達成出来ねぇ状況なんざ望んじゃいねぇのは分かりきった事だが、同時に何か出来ねぇかとでも考えてるだろう。大方自分だけじゃ判断がつかねぇからダアトかユリアシティにでも行って、指示でも仰ごうとしてるんだろうよ」
「ユリアシティ?・・・モース様がユリアシティに来たなんて聞いたことないわよ、アッシュ・・・?」
「一応奴もユリアシティの行き方くらいは知ってるだろう。実際に行っていたかどうかなど知らんがな。それに奴が頼るというか、すがれる物は預言以外にない。その為にも預言を実行してきたユリアシティに指示をもらうしか奴には出来ることはねぇはずだ」
「・・・そう」
ジェイドがなら目的は何かと神託の盾所属の二人に話を振ると、アッシュがユリアシティだろうと言ったことにティアが力なく反応した事に説明するとまた影を落とし一言で返す。その姿にアッシュを始めとした一同は訝しげにティアに視線を向ける。










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