一先ずの再会

「では具体的にどのような風に説得したのか、お聞かせいただけませんか?その中身次第ではどのようにこれから動かねばならぬのか決めねばなりませんのでね」
「分かりました・・・まずシェリダンに着き、空を飛べる譜業・・・名前はアルビオールと言うのですが、そのアルビオールを作ろうとしている方々に我々は出会いました。そこでまず研究の成果について話を聞いていき、戦争についてどれだけの情報があるのかを聞きました。その結果として、あちらは戦争が起きる一歩手前のギリギリの状態であるという認識である事が分かりました」
「ギリギリの状態、ですか・・・」
「えぇ、一応街の人にも後で話を伺ったのですが大方同じような認識でした。その上でパダン平原が落ちたことについても聞いてみたのですが、こちらについては認識自体はされてるようですがまだ信じることが出来ていないといった様子でした。これに関してはシェリダンからパダン平原が遠いこともあり、未だ嘘や絵空事と捉えられているからだと思います。外殻大地としてこの地が昔から空に浮いていると思えないからこそでしょうが」
「まぁその辺りは仕方無いでしょうね。パダン平原からシェリダンは遠いですから」
それでどうなのかと二人は会話を交わすのだが、その言葉回しとは裏腹の中身の重さに周りの面々は黙ってその行く末を見詰める。
「そしてそれらの話を聞いた上で研究者の方々にアルビオールがもし戦争の口火が切られた場合、戦争を有利に進めるために使えと僕達の考えた手法を交えて言われたらどうするのかと聞いたら・・・表情を酷く歪めていました。そんな手段にアルビオールを使いたくないし、人殺しの道具にしたくないと。その上でナタリアさんにルークさんの事を伝えると、より一層表情を歪められました。ナタリアさんがいる手前で言いにくそうではありましたが、そんなキムラスカに従いたくはない・・・とまで言う形で」
「・・・それは本当なのですか、ナタリア?」
「・・・はい。私もアルビオールを戦争に用いて欲しくないという気持ちを抱いていましたが、そこまでの事を言われた事には流石に衝撃を受けました・・・ですが今アルビオールを使われてキムラスカがマルクトを滅ぼそうとするようなことは、私にとっても望むべき事ではありません・・・ですから、私は研究者の方々に願いました。そのような命令に従わないでほしいと・・・」
「・・・その結果、アルビオールは使わないという答えが出てきたと?」
「えぇ、その通りです。そもそもアルビオールは完成間近らしいのですが、完成と言うわけではないらしく今しばらくなら完成していないで通すことが出来ると言われました。それでもアルビオールを使用するよう命じられればダアトより預かった貴重な譜業を故障により失いかねないと、そう返して追い返すようにするとも」
「成程・・・そういうことならアルビオールとやらで戦争を優位に進められるような事はなさそうですね。無論、それまでに戦争にならないような状況にする必要があるでしょうが・・・」
更に続けて話をする中でヒューバートがナタリアに途中で話を振り、その二人の答えに一応ジェイドは納得する。とは言ってもまだ心配する要素があるという辺り、ジェイドらしいと言えるだろう。
「それで、そちらはどうだったのですか?」
「あぁ、そうですね。今度はこちらの番になりますか・・・」
それでそちらの説明を求めるとヒューバートに話題を振られたジェイドは眼鏡を押さえ、若干面倒そうに説明を始める。









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