一先ずの再会

「・・・話は少し変わるけど、あのヴァンさんの変わりようは正直驚いたよ。僕はアドリビトムでの時のヴァンさんしか見てなかったし、アクゼリュスでもほとんど会話してなかったからちょっとね・・・」
「あぁ、そう言えばそうだったな・・・あの時はそこまでゆっくり話をした訳じゃないし・・・」
クレスがそこに話題を変えるようヴァンの事についてを切り出すと、ルークも納得する。
「・・・つかぬことをお聞きしますが、ルミナシアのヴァンさんについてはルークさんはどう考えているんですか?こちらのように動く可能性などは・・・」
「・・・それに関しては正直、どうなのか本気で分からない。あっちの師匠について俺なりに様子を見てきてどうなのかって考えたんだけど、どっちにも転びそうだし転ばなそうな・・・何て言うか、アンバランスな感じがな・・・」
「・・・つまり、ルークさんにもどうなるか分からないと?」
「うん・・・自分で言ってて情けないと思うけど、ルミナシアの師匠って本当にどういう風に考えてるのか分からないんだ。ただ本当に、どっちにも転びそうな危うさがあるとしか言えないから、きっかけ一つでこっちの師匠のようになる可能性は十分に有り得ると思うとしか俺は言えない・・・」
「「「「・・・」」」」
続いてすずがルミナシアのヴァンについての行動の可能性を聞いてきた為にルークは自身の考えを明かすのだが、結論が出ていないと暗い顔を浮かべる様子に他の面々も複雑そうに表情を変える。
「・・・どちらになるのか、ルミナシアのヴァンさんについては一先ず置いておきましょう。今は、こちらのヴァンさんを止めることが重要・・・そしてその為にルークさんはベルケンドでヴァンさんにあぁ言った訳ですね」
「あぁ・・・向こうの師匠はともかく、こっちの師匠は絶対に止めなくちゃいけない・・・だからあぁ言った。あの師匠にそう言っても俺の事を認めてくれるとは思えないけどな」
「認めてくれるとは?」
「前に二回師匠と戦ったけど、勝つまで全く俺を認めなくて勝ってからようやく認めてくれたんだよ。まぁそれも戦って勝ったから腕とかは認めてくれたって感じなんだけどな」
「・・・そういうことですか」
そんな空気にすずは話題を少し反らして話を進めルークも気を取り直した上でヴァンについてを話し、笑顔を浮かべるがどこか寂しげな印象を抱かせる様子にすずは追求を避け無難な言葉で返す。
「ただ、改めて聞くような形になるけれどいいのかしら?こっちのあの人の事を考えると、倒して捕まえて改心を望むような事はまず無理だと思うのだけれど・・・」
「・・・そこについてはもう決心はついてる。師匠の改心を願うのは無理だって事は。だから決着を着ける時には確実に師匠にとどめを刺す・・・エルドラントを始めとした事を起こさないようにするにはそうするしかないと思うから」
「そう・・・決意は固いようね。貴方にとってまた師匠を倒すということはキツい時間だと思うのだけれど・・・」
「・・・キツい、ってのは否定は出来ない。ルミナシアの師匠もそうだけど、こっちの師匠の事も俺は尊敬してる。そんな師匠を自分の手でもう一度、倒さなきゃいけないって考えるとズンッと心が重くなるのを確かに感じた・・・けどだからってそこから逃げても何にもならないばっかりか、オールドラントそのものが終わってしまうんだ。他ならない師匠の手で・・・そんなこと、俺は嫌だしさせたくない。だから俺は師匠を倒す・・・もう一度、あの人を自分の手で葬る事になっても・・・」
「「「「・・・」」」」
・・・ジュディスからの投げ掛けに答えるルークの真摯でいて悲痛な重みが加わった顔と声に、クレス達はその覚悟を感じ取り余計な言葉を発する事はなかった。いや、出来なかったと言った方がいいだろう。その決意を濁すことが出来ないと思える程の力がルークの声にはこもっていたのだから。










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