一先ずの再会

「・・・話はそれだけか?なら今回は特別に見逃してやる、早く行け」
「閣下、いいのですか?」
「構わん。どうせこいつらにやれることなどたかが知れてるし、私達も関わっている暇などない」
「そうですか・・・何をしている、今の内にさっさと出ていけ。そうでなければ閣下がよくとも、私が相手になるぞ」
「教官・・・」
ヴァンはそのまま関心を失ったように机の上に置かれた資料に視線を向け、リグレットがいいのかと問い掛けると視線を合わせることすらなく返す姿に自分で追い払うように言い放つ。ティアが複雑そうな声を漏らすが、ルーク達が部屋を出ていく様子にその後を付いていく。









・・・それでベルケンドを出たルーク達は港にまで来て、船に乗った。
「・・・さて、これで一応目的は達成出来ましたし船も出港しました。謡将の言う通りでしたら我々に追手がかかることもなくケセドニアに向かうことが出来るでしょう。後はそれまで皆さんゆっくりしていてください」
ジェイドが甲板の上で一先ずゆっくりするよう勧めた為、一同は場を後にしていく。
「・・・ルーク」
「・・・何だよ、またお前かティア」
「ちょっと・・・露骨にいやそうな顔をするのはなんでなの?」
「・・・実際に師匠に会って何とも言えねぇ気持ちになってんのに、文句でも言いそうに表情が強張ってる奴の顔を見ていい予感するなんて思えってのか?」
「っ、私の表情が強張ってる・・・!?」
「・・・自分で自覚してねぇのかよ。ったくよ・・・」
そこにまたもやティアがルークに近付いて話し掛けるのだが、自身の表情の事を言われてショックを受ける姿にルークは頭をかく。
「・・・お前が何を言いてぇのか知らねぇけど、もうちょい自分の事をちゃんと自覚してから来い。少なくとも今の俺はそんな表情のお前と話したくねぇ・・・こいつを貸してやるから適当に気持ちを落ち着けてからもう一度来い。お前はティアが落ち着くまで適当に側にいろ、いいな」
「はいですの・・・」
「ルーク・・・」
「んじゃな」
そして呆れ気味に話をした上でミュウに命令を言い渡すと暗い様子で頷き、ティアが複雑な顔を浮かべ名を呟くがルークは気にすることなく背を向け場を後にしていった。



「大丈夫かしら、ルーク?」
「・・・もしかして、ティアとのやり取り見てたのか?」
「うん、すずちゃんがちょっと危ないかもって報告してきたから陰ながらね」
「そうか・・・」
それで船内に入ると通路でジュディスにクレスにすずにアスベルにアニーが待っていて、ルークは表情を複雑そうに崩す。
「とりあえず、部屋に入って話をしよう。ここじゃあ誰かに話を聞かれかねない」
「・・・そうだな、そうするか」
そこにアスベルが近くの部屋の扉を開けながら入ることを口にし、ルークが頷いた所で一同はその部屋に入っていく。



「・・・しかし、ティアのあの感じはどうにかなんないのかな・・・ミュウを渡せばどうにか大人しくはしてくれはするけど、あれがずっと続くと俺もそうだけどミュウに流石に悪いって思うんだよ・・・あいつに負担ばっかかけてるし・・・」
「ミュウに負担をかけてるとルークさんは思ってるんですか?」
「自分で言うのもなんだけど、あいつが一緒にいようとしてるのは俺の方だ。それを俺の勝手でティアを抑える為や本音を漏らすために引き離してるんだから、あいつにとっちゃ不本意な事態なんだよ」
「そういうことですか・・・」
そして部屋に入るなりティアの話題からミュウの方へとその想いを苦そうに口にしていくルークに、アニーは胸を締め付けられるような想いを抱く。








10/18ページ
スキ