・・・そんな風にルークが重い空気を滲ませるのだが、ミュウがいることや中身が中身なだけにアドリビトムの面々にも話をしに行くことも出来ずにベルケンドに着くまでの時間を過ごした。









「・・・さて、ようやく着きましたねここまで。港からベルケンドまで大した時間はかからないようですので早速参りましょう」
そして港に着き、ジェイドの声に一同は頷くがルークがそこで一歩前に出る。
「・・・その前にここにいる奴に師匠達がここにいるかくらい確かめた方がいいんじゃねぇか？一応港って場所だし、人の出入りくらい確認してると思うんだけどよ・・・」
「成程、確認すれば無駄足にならずに済むかもしれませんね・・・すみませんがそちらで誰か謡将達の事を聞いてきていただいてよろしいですか？私にルークが聞けばもしもの場合、その姿からいらぬ騒動の元になりかねませんからね」
「分かりました、僕が聞いてきます」
ルークは先に確認をした方がいいと言い出しジェイドは頷いた後にアドリビトムの面々に聞いてくるように頼み、クレスが近くの兵士に話を聞きに行く。
「・・・ルーク、貴方どういうつもりで兄さん達の事を聞いたの？」
「いるかどうかハッキリしてねー状況をハッキリさせるためだよ。師匠達がここにいる前提で来たけど、そうだって決まった訳じゃないからな。だからここでハッキリすんならした方がいいって思っただけだよ、いないならいないでどうするかって話になるだろうからな」
「っ・・・そう」
（またか・・・こう言った発言がジェイドに警戒心っていうか、そういった物を与えてるって事をティアは考えてないのか？いや、下手するとそういった風に認識してない可能性すら有り得るんだよな・・・）
そこにティアが発言の意味についてを聞いてきた為にルークは説明をするのだが、すぐにフイと視線を素っ気なく背ける様子にその内心を想像して脱力しかける。認識不足なんじゃないかとしか思えないために。



（ホントにもう・・・ルークのあの態度をどうにかしたいのに、なまじ考えて行動してるだけにどう私が動いていいのか分からないわ・・・！）
対してそんなティアの内心なのだが、ルークの態度は気に入らずとも文句を無理矢理にでもつけようのない考えがあるだけにどうしたものかという怒りに満ちていた。無論、周りの目など気にしてすらいない形でだ。
「・・・お待たせしました。兵士の人に話を聞いたらベルケンドには謡将は来ているそうです」
「・・・そうですか。一応は無駄足にならずに済みましたね。ただそうなるとしたら、こちらが対応を誤れば全滅の危険も有り得ます。慎重に行きますよ」
（兄さん達はベルケンドにいる・・・大佐からあんなことを言われたのは気分は良くないけれど、それでも今は冷静に努めないと・・・！）
そんな時にクレスが戻っていると言ったことにジェイドが場の空気を引き締めるように話を進め、ティアもまた若干の不機嫌さは残るものの気を入れ直す。









・・・それで港から出て、ベルケンドの街まで来た一行。そのベルケンド特有の譜業をふんだんに用いた街中の風景に特に触れることなく、ヴァン達のいるであろう研究所の中を目指し進んでいく。



そして目的の当人のいる。部屋の扉にルークは手をかけノブを回す。
「・・・これは驚いた。まさかお前達自らこのベルケンドにまで来るとはな・・・」
「・・・師匠・・・」
・・・その先には横にリグレットを付け机に備え付けられた椅子に座るヴァンという、かつてを彷彿させるような光景があった。
言葉だけは驚いたと言いつつも余裕を滲ませたヴァンの言葉に、ルークはそっと複雑な感情を滲ませながら師匠と一言漏らす。









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