一先ずの再会

「えぇ、そうです。現状としてどちらに転ぶかそうでないかはハッキリとはしていませんが、私の見立てではナタリアは惑う方に向かうと見ています。その上で私に協力してくれるのは誰か、という点で見ると・・・貴方しかいなかったんですよ、今の状態ではね」
「・・・成程、そういうことか・・・」
それでジェイドが貴方しかいないと言い切った事に、ルークも重く納得する。
「多分お前が言ったような事になったらイオンはどうにか仲良くって言うだろうけど、ティアが多少怯むくらいな感じだろうな・・・んで、それでも事が事だから引くことは無さそうってとこか」
「えぇ、その上でイオン様は場をなだめようと必死になって我々の方に付いてくれるような状態にはならないでしょう。そしてアニスならまだ何かを言えばこちらに付いてくれたかもしれませんが、ガイがこの件に関してどちらかにつくと言った答えを返してくれてもあまり役に立つような姿は想像出来ません。おそらくティアが怒って詰め寄れば私に頼まれた事だからというのもあり、まともな言葉を返すことは出来なくなるでしょうからね」
「・・・ガイに関しちゃホントにそうなりそうだな・・・」
そこから二人で他の面々について話をする中、ジェイドがガイの行動パターンを予想した声にルークはそうなる未来しか見えないと脱力気味な様子で頭に手を当てる。
「私の言いたいことが分かっていただいたなら何よりです・・・現状で今ダイクロフトの方々を除いて冷静なのは、貴方くらいしかいません。ですからこそもしもの時は私への協力をお願いしたい・・・そう言いに来たのですよ」
「・・・分かった、そうなったら俺も協力する」
「ありがとうございます。では私はこれで失礼しますよ。言うべき事は言い終わりましたからね」
それでまとめとばかりに言うことを言ったジェイドは一つ礼をした後に部屋を退出し、その後ろ姿を見てルークは複雑そうな表情を浮かべる。
(この状況はどういう状況なんだ・・・ジェイドがあそこまで言うって事は、多分俺に対する評価はそんなに悪くはないとは思う・・・けど、他の皆に対しての評価がどう考えても芳しくないってのはどうなんだ・・・?)
そうやって表情を歪める理由はジェイドの評価の在り方がこれでいいのかという気持ちがあるからだ。
(これからの旅でナタリアはともかく、アッシュがジェイドと仲良くするなんてまず考えられない・・・ガイにアニスはこれからどうなるのか分からないからともかくとしても、問題の筆頭に上がるのはやっぱりティアだ・・・このままだとジェイドが言ったようにいずれアドリビトムの皆と衝突するのはまず間違いないんだよな・・・)
そしてそういった評価があるからこそ、そしてアドリビトムの面々と衝突する確信があるからとルークは悩ましい気持ちから来る声を抑えるのに必死になる。ミュウが近くにいるため、内心を聞かれないようにするために。
「ご主人様・・・大丈夫ですの?」
「・・・何でもねぇなんて今の状態じゃ言えねぇ。けど今話した事は他の奴らがいる時には絶対に口にすんな。下手するととんでもねぇことになりかねねぇからな・・・いいな?」
「はいですの・・・」
そんなミュウが心配そうに声をかけてきた為、真剣でいて重く何も言わないようにルークが釘を刺すとただ力なく頷く以外に出来なかった。
(・・・多分ジェイドが言ったようなきっかけが起きるとしたら俺達が師匠達の元に行った後だ。そこから先は・・・もうなるようにしかならないか・・・色々と取り戻しようのない事態に・・・)
それでまたルークは考えに移行するのだが、確かな予感を感じていた。これからはもう自分では止めようのない事態にしかなり得ない事を・・・












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