一先ずの再会

「ですがそんな事態など私は望んでなどいません。その上で貴方はそうなったならどう思いますか?」
「・・・正直、俺としてもそんなことになるのなんか望んでなんていねぇよ。でももしもの時にティアがそうする可能性が高いのは俺も予想がつく・・・」
「そう認識しているのならこちらとしてもありがたいですね」
そして投げ掛けられたジェイドからどう思うとの問いにルークは顔をしかめながら同意を返すと、満足そうに頷く。
「けど・・・なんで俺にだけその事を話に来たんだ?アッシュはともかくとしても、ナタリアにくらいはその事を話しとくべきじゃないのか?」
「あの二人に、ですか・・・」
だがルークが何故自分だけにと二人の名を出すと、ジェイドは眼鏡に手を当てる。
「・・・私もその事について考えなかった訳ではありません。ですが再度この場だからこそ言わせていただくなら、彼ら・・・特に貴方も予感しているでしょうが、アッシュにこの事を言っても理解というか協力をしてくれるとは思えないのですよ。大方俺はテメェらとは関係ねぇなどとでも言ってね」
「あぁ、やっぱそういうことか・・・」
「ナタリアに関しては話を理解はしてくれるかもしれませんが、こちらに進んで協力してくれるとも思えません。彼女の性格からしてティアにその事を直接言えばいいと言う可能性もありますし、私がこう言っていたという風に言いかねません。ただ、今の状態ではまた別方向の不安があります・・・それはもしもの場合にアッシュの反応を気にするあまり、こちらに同調してくれないことです」
「っ!?」
そのままジェイドはアッシュについての不安を口にするが、ナタリアについての不安までもを聞いたルークは完全に予想外と驚きを露にした。アッシュを気にしてとの可能性に。
「意外そうな顔をしていますね・・・最後に言ったことについては考えていなかったといった様子に見えますが、私も絶対にそうなると思って言っている訳ではありません。ただ、彼女の行動パターンを見ると全く有り得ない訳ではないと私は考えています」
「でも、アッシュの反応って・・・」
「アッシュが来てからのナタリアに貴方は積極的に近付こうとはしていませんが、それでも一緒に旅をしてきたからわかるはずです。ナタリアがアッシュと離れようとしてないことは」
「・・・まぁ、それはな・・・」
その訳についてを説明するジェイドの話の中でナタリアとアッシュの距離についてを言われ、ルークはまた否定出来ずに何とも言えない表情を浮かべる。
「あれはナタリアがアッシュと共にいたいという気持ちがあるのもあると思いますが、同時にアッシュと離れることを避けるためという気持ちもあります。いえ、どちらかと言えば後者の気持ちの方が強いでしょう。もしもの事があればアッシュは我々といつ離れると言い出すか分からない状況にありますからね」
(今の状況だとその可能性は大分減りはしただろうけど、それでもまだない訳じゃないよなその可能性は・・・)
「ナタリアからすればそういった可能性は是非とも避けたいでしょうが、それ以上に避けたいのは・・・自分がアッシュに嫌われるという事でしょう」
「は?アッシュに嫌われる?・・・有り得ねぇんじゃねぇのか、それは?」
「私から見てもそう思いますが、ナタリアからすればそうではないでしょう。もしこの旅で自分がアッシュに嫌われたなら、アッシュは自分から離れるんじゃないか・・・あくまで私の目から見てのことですが、ナタリアはアッシュに嫌われたくないからこその不安からあぁいった行動を取っていると思うのです」
「っ!・・・アッシュに嫌われたくないからこそ、か・・・(・・・言われてみたら納得出来てしまった・・・ナタリアの行動って全部アッシュと同調してるものだと思ってたけど、ルミナシアの方のナタリアも含めてアッシュに対する不安がなかった訳じゃないのかもな・・・)」
その上でナタリアに対する考察が多分に混じったジェイドの話に、ルークは自分の中になかった考えに思わず納得してしまった。アッシュに嫌われることを避けたいからこその行動と、確かに思った為に。







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