戦乱に導かぬ為に

「・・・うん、ルークにならいっか」
「俺になら・・・っ、うわっ・・・!?」
そして納得したような笑みを浮かべて近付くナナリーにルークはハッとして身を引こうとしたが、元々ベンチに座っていた事を忘れていた為に足を引っかけて体勢を崩して座り込んでしまう。



「んっ!?」



そのままナナリーに近付かれたルークは・・・口付けを拒むことが出来ず、ナナリーに唇を奪われた。
「・・・んっ、初めてだけど案外悪くないもんだね・・・」
「ナ、ナナリーさん・・・」
「・・・ほら、これでおあいこさ」
「お、おあいこって・・・そ、そうするためにわざわざ・・・お、俺とキスって・・・!」
それで唇を離すナナリーは笑顔を浮かべ唖然とするアニーに話し掛けるが、ルークは顔を赤くして手で口を覆いながらそこまでする必要はなかったとばかりに声を上げる。
「えっ?・・・もしかして私とキスするの嫌だったのかい?」
「い、嫌って・・・そんなことないけど・・・でも、その為にわざわざ・・・」
「まぁアニーのためにって言うのもそうだけど、私も私でさ・・・あんたになら別にいいかなって思ったからやったんだよ。それは嘘じゃないさ」
「う、嘘じゃないって・・・」
「何だったらもう一回でも何度でもやってもいいよ、あんたが信じるまでね」
「だ、だったら私も・・・!」
「いやいやいや!いいって何も二人ともそこまでしなくて!」
ナナリーはそこで不安そうな顔になるが否定するルークに真剣に何度でもと言い出し、アニーまで顔を赤らめながら自分もと切り出してきた事にブンブンと首を横に何度も振る。
「だったらいいさ・・・でもね、私もアニーと同じ気持ちなんだよルーク。そしてそれは私達だけじゃなく他の皆だって同じように思ってるはずさ・・・あんたの為なら何でもしたいという気持ちに嘘はないよ」
「そうです・・・ルークさんが自分の本心を明かせないし言いにくい状況にいることは分かっていますが、それでも私達に言ってくれるならなんでもします・・・貴方の辛いという気持ちも、なんでも受け止めますから・・・」
「・・・二人とも・・・ありがとう、そこまで言ってくれて・・・」
しかし続いた言葉が自分に向けて真剣でいて心に訴えかけてくる物であった為に、ルークも二人に対して恥ずかしいという気持ちがなくなり神妙な面持ちで頭を下げる。
「・・・じゃあ宿に戻ろうか、もういい時間になってきたことだしさ」
「あぁ、そうしようか」
そしてナナリーから戻るよう切り出されたことにルークも気を完全に取り直して頷き、立ち上がる。宿に戻るべく・・・






・・・それで部屋に戻った三人はまだ朝としては早い時間ではあったが、朝食を取った。そしてまだ港に行くには早い時間の為に部屋で待つことにしようとなったのだが・・・
(うわ・・・今更ながらに思い出すと、すごく恥ずかしい・・・俺、二人とキスしたんだよな・・・ついさっき・・・)
ルークは先程のやり取りを思い出し、ベッドに腰掛けながら表情にはおくびにも出さないが恥ずかしさを感じていた。十分に美少女と呼べる二人とキスをした事実を思い出し。
(その上ジュディスとはあんなことにまでなっちゃったし・・・あぁ、思い出すとマジでどうしていいかわかんねぇ・・・!)
更に思い出すとジュディスとの関係にまで行き着き、ルークは頭を振りたくなる気持ちを必死にこらえる。流石にそんな姿を見せてしまうこともそうだが、不審に思われてその事実を明かすのはジュディスの事もあるから言えないために。
(・・・でも・・・今思い返すと、俺って何て言うか女性関係の事に関して縁がなかったんだな・・・ルミナシアの時は自分からそうならないようにしてたってのもあるけど・・・)
それで考えを深めていく内にふと自分の女性関係の事に行き着く、色々あったのもあるがそういったことはなかった・・・その中で、ティアのことを思い出すこともなく。










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