戦乱に導かぬ為に

「そう、どんな選択にだってもしもは存在するのさ。それで成功した未来に後悔するかもしれない未来って風にね・・・」
「私が言ったことがルークさんの辛いことを思い出させてしまったことは謝ります・・・けどルークさんもそうやってどっちがいいかと思って選択したから、今があるんじゃないんですか?」
「・・・そうだな、そうだった・・・そもそも俺はどんな考えであの選択をしたのか、忘れていたよ・・・」
そしてナナリーとアニーからの言葉にルークは改めて思い返す、自分の選択したことはどう選ぶにせよ後悔が付き物の物であったということを。
「・・・ごめん二人とも、自分がどんな考えであぁ選んだのか思い出せたよ・・・色々出来たんじゃないかとか今となって考えてしまうけど、それよりも優先して後悔しないことを俺は選んだって事を・・・」
「そう言ってくれるならそれでいいさ」
「・・・あ~、うん・・・そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、そろそろ離れてくれないか?ちょっと落ち着いたら恥ずかしくなってきてさ・・・」
それで謝る言葉を向けナナリーが優しく返すが、ルークは気持ちが落ち着いてきた事で顔をまた赤くしながら離れてほしいと二人に願う。未だにずっと抱き着かれたままの体勢であるために。



「・・・ルークさん、失礼します」
「へ?・・・んっ!?」
「ア、アニー!?」



・・・だが離れるかと思った瞬間意を決したような声と表情のアニーがルークに顔を近付け、呆けた声を上げた瞬間・・・アニーは目を閉じ、唐突にルークへと口付けをした。
くぐもった声を上げたルークにナナリーも訳が分からないと声を上げながら身を離すが、そこでアニーは顔を赤くしながらルークから口を離す。
「ア、アニー・・・なんで、いきなりこんなこと・・・!?」
「ちょ、ちょっと恥ずかしいと思ったけど・・・私がこうしたいと思ったからです・・・」
「こ、こうしたいって・・・だからってお、俺とキスなんて・・・」
「後悔するとかって言うなら怒りますよ・・・少なくても、今のキスに関しては私は後悔はしていません・・・」
「なんで・・・そこまで・・・」
「・・・私の意思表示だと思ってください」
「っ・・・」
瞬時に顔全体が赤くなったルークが慌てて立ち上がりながら訳を聞くが、まだ恥ずかしそうに顔を背けた様子からまだ頬は赤くありながらも真剣に顔を向けてきたアニーに少し圧されたように身を引く。
「私はこの世界には貴方の事を確かめる為に来ました・・・けど貴方の事を知れば知るほど力になりたいという気持ちに、何か出来ることなら何でもしたいという気持ちになりました・・・そして今の話でその想いを伝えようと思ったんです。後悔しない為にもと」
「だ、だからキスをするって・・・ナ、ナナリーもいたってのに・・・!」
「そ、それは・・・っ!?」
そのままアニーは真剣に自分の意志を伝えていくのだが、キスでなくともとの言葉からナナリーの存在をルークから口にされハッとそちらへと振り向く。そこにはナナリーが気まずそうに頭をかいている姿があった。
「・・・あ~・・・前々から考えてることは考えてたけど、その様子だと結構衝動的にやっちゃったんだね?今のキスは・・・」
「あぁぁぁっ!わ、忘れてくださいナナリーさん!今見たことは!」
極力喋らない状態にしようとしていたからかどう話していいものかとしながら素直に言いたいことを言うナナリーに、アニーは顔全体を赤面させながら慌ててナナリーに詰め寄る。ナナリーの言葉通り、衝動的に周りを見ずに行った行動だったのだろう。
「・・・忘れて、ねぇ・・・」
「・・・へ・・・?」
だがそんな状態で何故かナナリーが何か考え込むような目を向けてきた事に、ルークは何か妙な感覚を抱いた。











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