戦乱に導かぬ為に

「・・・けどそう聞くと、私達の存在はあの二人にとってなんだったのでしょうか・・・仲間だと思ってくれることはいいとは思います。けど互いの事の方が重要だとなる程というのは・・・私達の事はあの旅の時の事も含めて、そんなに軽く見られてたんでしょうか・・・?」
(あの旅のって・・・ルミナシアでの二人の事を言ってるのか、アニーは・・・)
次にアニーが悲し気に顔を歪めながらルミナシアの二人についても暗に漏らしているかのような様子に、ルークもその意味についてを感じる。
「・・・あの二人からすりゃ軽いって気持ちはないんだろ。ただ・・・どうしてもお前らに対しての気持ちの比率がすげぇ違ってるのは、正直否定は出来ねぇ・・・俺にもな・・・」
「ルークさん・・・」
「・・・気分が悪いってんなら俺が謝る。けどもうそこについちゃ何も言わねぇでやってくれ・・・さっきも言ったけど、本人達は自覚してねぇだろうからな・・・」
「ミュウ・・・」
「・・・分かりました、この話題についてはもう言いません」
・・・ルーク自身、心の底から否定が出来ないことが辛かった。アッシュとナタリアはアニー達の事をぞんざいに扱ってなかった、そう言いきれないと自分自身が考えてしまった為に。
そう感じざるを得ない心情が見える様子で話をする姿にミュウも何とも言えない表情で声を上げ、アニーも追求を出来ずに気まずそうに頷く以外に出来なかった。
「・・・戻ろうか。これ以上外にいても何もならなそうだしさ」
「・・・そうだな、そうするか」
そして神妙な面持ちのナナリーから気を使うように戻ることを口にされ、ルークも素直に頷く。何とも居たたまれない気持ちを抱く形で・・・









・・・それで宿に戻ったルーク達は三人で部屋に入った。ちなみに、初めからルーク達は三人で同室を取ろうとしたわけではない。単にティア達も含めた他の面々が一室一室部屋を取っていけば宿の空き部屋が一気に埋まる宿側に取っての迷惑を配慮し、ある程度グループにまとまって部屋を取ることにしたとケテルブルクの入口付近にいたウィルの言葉に納得した上で三人はならとそのままの面々で一まとまりで部屋を取ったのだ。

現に街の入口の方にある宿には街の真ん中・・・ルーク達が泊まることを選んだ豪華なホテル造りの宿でない方には誰も泊まってはいないとの事だ。単純な広さから見て、自分達でスペースを取ればそれこそすぐに満室になりかねないとの判断の上で。



(アッシュ・・・ナタリア・・・情けねぇ・・・アニーがあんな風になったってのに、それをフォローも出来ねぇで・・・こっちはともかくとしても、ルミナシアでのことまで持ち出されると本当に俺は何をやって来たんだろうって思うよ・・・)
・・・そんな風に部屋を取った三人だが、ルークはただ寝ると言ってすぐにベッドにダイブした。顔を見られぬよう枕に埋め、自責の念に駆られるような考えに浸りながら。
(・・・もっと俺はルミナシアで、アッシュやナタリアに対してやれること・・・いや、他にもまだ色々とやらなきゃなんないことがあったんだろうな・・・そうすりゃあんなことをアニーに言わせるような事にもなんなかったんだろうし・・・でもどうすりゃよかったんだろう、俺は・・・)
そしてどんどんと後悔が現れては渦巻いていく思考に没頭し、暗い気持ちに落ち込んでいく・・・何も出来なかっただとか、しようとしていなかったのではないかと自分を責めるような考えになっていき・・・












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