戦乱に導かぬ為に

「・・・お前が俺にどんなイメージを持ってるかとか、そんなことはどうでもいい・・・けど今の俺にとっちゃ、自分が何者かってのを知ることに考えることは何より重要だ。そしてその解決の為には師匠に会うことは一番必要な事なんだよ。俺がどういった存在なのかもだけどこれからどうするかを決めるためにはな・・・それとも、そう考えることは間違いだとでも思ってんのか?お前は」
「い、いえ・・・そんなことは、ないわ・・・(なん、なの・・・このルークの異様な迫力は・・・これがルーク一人で考え込んだ結果なの・・・アクゼリュスが落ちた時のように私達に何も言わないままいたから、こんなことに・・・!?)」
それで続けてルークから睨むような目と静かだが訴えを強さが込められた声を向けられ、ティアは混乱した内心につられしどろもどろに答えるしか出来ずにいた。
「・・・だったらもうんなこと聞くんじゃねぇ。正直、俺もあんまこの事を言いたくねぇんだ。特にアッシュになんか聞かれたら、テメェなんか屑で十分だなんて言われかねねぇんだからよ・・・」
「っ・・・わ、分かったわ・・・(・・・確かに今はアッシュがいないからいいけど、こんな話を聞かれたら喧嘩腰になるのは目に見えてるわ・・・)」
そして話をこれ以上しないように少し弱ったようにアッシュの名を出すルークに、ティアも辺りを見渡した後に頷くしか出来ない。今はアッシュがいないから良かったと・・・だがティアはそこでこの考えに至れなかった。ルークは冷静に周りを見た上で今の話をしたのだということに。
「・・・だったらもう俺は部屋に戻る。後・・・しばらく一人になりてぇからコイツの面倒でも見てろ。質問したことを悪いと思ってんならな」
「っ・・・分かったわ・・・(ここは流石に断るわけにはいかないわね、本当に私から話題を振ったんだし・・・それにミュウの面倒を見なきゃいけないし・・・)」
「ミュウ・・・ご主人様・・・」
そしてミュウの頭を掴んで一人になりたいと手渡してくるルークに、ティアはミュウを預かる嬉しさもあるが断れないと頷く。それでルークが場を離れていく様子にミュウは寂しそうに声を上げて、ティアもまた何とも言えない複雑な表情を浮かべていた・・・









「・・・失礼します」
「あ、すず・・・どうしたんだ?」
「いえ、先程のティアさんとのやり取りを見ていたものですから少し気になってきたんです」
「気になった・・・まぁあのティアの様子を見たらすず達も気にならないって思わないでもないか」
それで船の一室に入ったルークだが、入室してきたすずの用向きについてを聞いて納得する。
「・・・大丈夫だったんですか、あんな風な話をして?」
「あぁ、問題ないって。ガイにも似たような事を言ったから、思い付きであんなことを言ったんじゃないからガイに聞けって言えるしさ」
「いえ、私が気にしているのはあんな話をしてティアさんがよりルークさんに話し掛けてくるようになるのではないかということなんですが・・・ルークさんはそうは考えなかったんですか?」
「・・・あ~、そうなるかもしれないけどしばらく話し掛けてこなくなればいい程度に考えてあぁ言っただけだしな俺。なんて言うかあそこで自分の考えかそうじゃないかって問答してたら時間かかると思ったしな、あのティアだと言葉だけで納得するって思わなかったから・・・」
「・・・その点、あぁいったように言えばティアさんでも話し掛けてこれなくなると思ったというわけですか」
「まぁなんていうか、ティアって強い言葉を使う割に自分が強く言われると動揺しやすいしな。だから多分自分から俺に話し掛けてくるとしたら、俺に対しての考えがまとまってからだと思う。そうじゃないとティアもどうしていいか分からないだろうしな」
すずは先程のやり取りについてを確認するのだが、ルークは多少考えが抜けていたことを認めつつもしばらくは大丈夫だろうと自身の予想を語る。










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