戦乱に導かぬ為に

「それでは他に使うような予定もないようですからまずはピオニー陛下にダイクロフトを動かし、早い内にカイツールの人々を救出するように言いに行きましょう。ジェイドさん、いいですか?」
「えぇ、それで構いませんよ」
「じゃあその決定をダイクロフトに伝えに行かないといけないな・・・その流れを汲んで、後はもう解散でいいのではないですか?隊長」
「そうだね・・・じゃあ皆が反対じゃなければそうしてもいいだろう。どうかな、皆?」
すずがそこでジェイドに話し掛け頷いた後にアスベルとフレンが解散を切り出し、部屋の中を見ると皆静かで誰も反対をするような様子は見受けられない。
「・・・じゃあ解散しようか」
その光景にフレンが改めて解散と言い、一同は各々動き出す。



「ルーク」
「あ?なんだ、俺に何か用か?」
それで部屋に残っていようとしたルークの前にティアが現れ、何かと何事もない感じに返す。
「用、というかその・・・次からは限度はあるけれど、出来るだけ私に何でも聞いて」
「はぁ?・・・いきなり何を言い出してんだよ?」
だがティアが少し恥ずかしそうに意を決して告げた言葉に、首を傾げながら問い返す。一体その言葉はどう言うことなのかと。
「いえ・・・カイツールで貴方と話をしていた時、少し私も大人気なかったと思ったの。だから何か聞きたいことがあるなら出来るだけ答えるから、これからは私に聞いてちょうだい。なんなら今何かあるなら遠慮なく聞いてくれても構わないわ」
「・・・何かって言われたってな・・・いきなりんなこと言われたって何聞けばいいかわかんねぇからその時にすんよ」
「・・・そう、分かったわ。困ったことがあったらいつでも聞いてね(これで一先ず私がルークに対して抱かせてしまった印象は変わって、私に話を聞きに来るでしょうね・・・)」
「・・・あぁ、そうすんよ(何だ?いきなりティアの態度がメチャメチャ変わったけど・・・正直、気持ち悪いな・・・ティアには悪いけど・・・)」
そこから今までの様子とは一層を画するかのよう声色を優しくして関わりを持ちに来るよう言うティアに、ルークは分かったと返す。だがその心中は心から滲む喜びを匂わせる微笑を浮かべるティアとは対照的に、ルークは気持ち悪さを感じずにはいられなかった。



・・・ここでティアとルークの考えが大きく違う理由は、ここまでの関係性が凄く響いてきたからだ。

ティアとしては今の様子でも尚関係性は前のようにしたいと考えているし出来ると思っているが、ルークはそんなティアとの関係性についてはほぼ改善は出来ないと思っていた。だからこそティアからのいきなりの変貌からの歩み寄りが行われてきたことは、ルークにとっては晴天の霹靂も当然の事であった。同時に、今までの事があるために異様な感覚を味わう形で。

・・・一応ティアは見た目としては、十分に男から見れば美少女と呼ぶに相応しい部類に入る。そんな美少女が恥じらいを見せながら自分に積極的に関わってほしいと願われたなら、普通の男なら喜ぶことだろう。だが最早そんな姿を見てもティアに対しての関係性は決まっていると思っていることに加え、ティアの事を異性として見ることの出来ないルークからしてみれば・・・気持ちよく受け入れる事など出来るはずもなかった。ティアの歪んだ気持ちを感じれる言葉に態度は。



(まぁティアに悪いとは思うけど、困ったことがあってもティアには聞かないようにしよう・・・なんかそんな気分になれないし)
だからこそルークは続けて考える。悪いとは思いつつも心なしか嬉しそうなティアには頼らないようにしようと。












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