戦乱に導かぬ為に

・・・そもそもの話で、ティアは元々愛想よく人付き合いが出来るような性格ではない。と言うより当人はそう思ってはいないが、人付き合いはハッキリ言って苦手なのである。

これはユリアシティという閉鎖的な環境で生まれ育った上で、兵士として教育を受けたから・・・というのは厳密には違う。ルミナシアのライマは小国ではあったが、それでも鎖国をしているほど閉鎖的な場所ではなかった。つまりは同じように兵士としての道を選んだこと以外はティア本人の素質による物なのだ。場所が違えど同じような性格の人間になるのは。

その点でルミナシアのティアがアドリビトムの面々とそれなりに交流出来ていたのは同年代が多いことや性格的に相手から交流を持ってきてくれる人物が多かったからであるが、このオールドラントのティアに関しては違う・・・仲間と呼べる存在は基本的にルーク達しかいないのだ。今こうやってこの場にいるティアからしてみれば前の経験があるから特に。

その上でティアとしては自分と対等な存在と思って他と違うと示して接しているつもりかもしれないが、肝心の当人達・・・ナタリアとアッシュからしてみれば、ティアは特別な存在などではない。元々ティアに対して然程興味を持っていないアッシュはまだともかくとしても、ナタリアからしても別にそんな特別に気に入ることもなくだ。この辺りは前に引きずられているティアが勝手に前の関係にいっていると考える、独りよがりでいてコミュニケーション不足の結果の現れと言えた。



(あ~、もう見ていてイライラするわね・・・ティアは何か話したそうにソワソワしてて、目の前の二人はそれに気付かず互いの事しか見てない・・・ここで子供が相手だってんなら声をかけたげんだけど、余計な事にしかなんないのはもう目に見えてるわ・・・)
そんなティアの葛藤の見える様子に加えて全く周りの見えてない二人のやり取りを目にしながら、横目で自分は関係無いとしながらもさりげに様子を見ていたルーティは内心げんなりしていた。仲良くなりたそうにしている子供なら仲良くなる事も有り得るが、ティア達の性格を考えるとそんな単純にいかないことを確信しているために。


















・・・そんな風に互いの状況は違うが、一応やるべき事をやりながら時間は進んでいった。

その中でダイクロフトを拠点にしながら動くルーク達はセントビナーの住民を救いだしてエンゲーブに預けた後、グランコクマへと向かった。









「・・・よく戻ってきた、お前達。カイツールの兵士達を救ってからの流れはそちら側から聞いたが、それからの流れの説明を頼むぞジェイド」
「はっ・・・とは言いましてもあまり時間はかけられないでしょうから簡潔にお伝えしますが、カイツールを後にした我々はその後セントビナーまで向かってマクガヴァン親子と話をした後にセントビナーの住人を保護し、エンゲーブにて受け入れていただけるようにした後にこちらに戻ってきました。大まかな流れは以上ですが、詳しい内容が聞きたいと申されるなら後でお話します」
「そうか・・・ご苦労」
・・・それで数日後、ルーク達はグランコクマの宮殿へと戻ってきた。ピオニーと共に先に戻って待っていた、ティア達の出迎えを受ける形で。
そこで早速と説明を求めるピオニーにジェイドは言葉通り起こった事を淡々と口にしていき、その答えに納得して労いの言葉をかける。
「陛下・・・ここを出ていった後、キムラスカから何か連絡か反応かありましたか?」
「キムラスカから、か・・・あぁ、一応な」
そこにルークが真剣な様子でキムラスカの事に切り出すと、ピオニーは是と答える。








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