戦乱に導かぬ為に

「まぁそういう訳ですが、厳密に言えばもう一つ理由はあります。それは貴方の考え方と立場はナタリアにアッシュの二人とは違うと思ったからですよ」
「は?俺とあいつらが違う・・・?」
ただそこでジェイドが二人と違うからと言ったことに眉を寄せる、ルーク自身はそんな風には思っていなかった為に。
「とは言っても貴方の立場から考えればある程度考えが違うのも当然と思ってのことです・・・貴方のレプリカという立場からね」
「(まぁジェイドからしたら切り出しにくい事じゃあるか・・・)・・・あ~、まぁ何となく言いたいことは分かったからそれ以上言うなよ。あんま俺も聞いてて気持ちいいもんじゃねーし、ナタリア達にも何か言うつもりもねーしよ」
「・・・そうですね。少し私も話しすぎました。この話はここまでにしておきましょう」
ジェイドはそこでレプリカだからこそと言うが、言いたくない事を言ってしまったと感じたルークが話を面倒そうに打ちきりを提案してそれに同意して頷く。
(でも俺とナタリア達の考え方が違う、か・・・改めて思うと、そうなのかもな。一応戦争回避の為に動いてはいるけど、是が非でもキムラスカの為にって俺が考えているかって言ったらそうじゃないし)
そして再び場が沈黙する中でルークは考える、確かに先に見据える物が違うからこそ考え方も違うと。
(それに多分ナタリアはこのまま何事もなくすんでめでたしって風にして終わらせたいしそうなるみたいに思ってるだろうけど、もう本当の『ナタリア』との取り替えもバラされてるのはまず間違いないだろうしな・・・すんなりいくわけないのは目に見えてるし、俺がその分動かないとな・・・!)
その上で知っていることも違うからと自分が動くことについてをルークは真剣に決心する。自分がやらねばならぬと。


















・・・その一方で、現在外殻大地上を動いているティア達へと場面は移る。



「・・・(・・・何か言おうにしても、何も言いようがないわ・・・下手に何か言ってもアッシュが怒ったら辻馬車が止まるようなことになりかねないし・・・)」
・・・だが別に大したことが起きている訳でもなく、ただ辻馬車がグランコクマに向かって走っているだけである。
そんな中でティアは沈黙するしかなかった。目の前に座るアッシュとナタリアが互いに気を使っているようなやり取りを、下手に邪魔をするわけにはいかないと思い。ちなみにティアの隣に座っているのはルーティである。



・・・さて、何故ナタリアとアッシュの乗る辻馬車にティアが乗っているのかと言えば単純にティアが二人と共にいたいと思ったからである。ガイにアニスはもとよりルークにジェイドの二人もいない状況でティアが仲間と思うのは、ナタリアとアッシュくらい・・・だからこそ一緒の辻馬車で行動を共にしようと。

だがそうやって一緒の辻馬車に乗ったはよかったが、ティアが思っていたような心許しあえるやり取りは待っていなかった。ナタリアとアッシュ・・・この二人はティア達の事はほぼいない物として見てるかのように二人の世界に没頭していたために。

ティアはその光景を見て邪魔をするのも悪いと思って黙っているのだが、まさかここまで自分が無視されるとは思っていなかったのである。

だがそれもある意味当然であった・・・ティアは考えていなかったのである。仲間と思っているから無条件で仲良くなれるわけではないということを。












3/22ページ
スキ