「そういうことなら俺達としては見学してもらう分には構わないが、そちらが言ったように数人までだ。それとそちらが兵を向けてきた場合にはどんな状態であれダイクロフトとの行き来が出来ない状態にし、キムラスカ側に救助の手は出さないようにする・・・という条件を呑んでいただけるのであればな」
「・・・成程、妥当と言えば妥当な要求だな。いいだろう、それで手を打たせてもらう。その代わりそちらにもこちらの安全を保証してもらおう」
「それは勿論だ・・・さて、ジェイド。構わんな？」
「えぇ、それでいいでしょう」
ユージーンがそこにならと条件を持ち掛ければ兵士もすぐに納得した為、ジェイドに大丈夫かと確認を取ればすぐに頷いてくれた。
「んじゃ俺達は先に向こうに戻るから、誰が行くとかどうとかってのを決めてから来いよ。行き違いで戦争なんて俺も嫌だし、お前らも嫌だろ」
「ルーク様・・・はい、分かりました。話し合いをした上で代表を決め、そちらに向かわせていただきます」
「そうか・・・んじゃ戻ろうぜ」
「そうですね・・・では後でまた」
そして話をまとめるよう戻ることを切り出すルークに兵士もジェイドも頷き、一言残した後で一同はマルクト側に戻るべく背を向け歩き出す。



「・・・僕が予想していたより殺伐とせずに事が進みましたね」
「それは彼が所々話に加わったからだと思うけど」
「俺か？・・・別に対した事じゃねーっての」
それで帰り道の中、ヒューバートとジュディスの会話に視線を向けられたルークは大したことではないと首を横に振る。
「だが少し意外だったな・・・こういう時はナタリアが自分から発言する物と思っていたのだが」
「えっ・・・！？・・・それは、その・・・」
「そうですね、私もどちらかと言えばナタリアがそういった役目を担うと思っていたのですが・・・それほどにあちらに向かう際の会話に影響を受けていたのでしょうか？」
「・・・はい、そうです・・・」
だが続いたユージーンの声に話題にされたナタリアは驚愕して戸惑い、ジェイドの追求の声に力なく視線を下に向ける。
「あーっ・・・だから気にすんなっつったろ。まぁさっき言ったばっかじゃ気持ちの切り替えなんざそうそう出来ゃしねぇだろうが、今は表情だけでも無理矢理普通にしようと作れよ。じゃねーと失敗して戻ってきたみたいに思われんぞ」
「・・・はい・・・」
（・・・まぁ今のナタリアがそう簡単に気持ちを切り替えられる訳ないよな。でも必要以上に何か言ったって逆効果だろうし、ほっとく以外にないか・・・）
ルークはその姿に表向き面倒臭いとばかりに声をかけるが、落ち込むその姿に内心でどうしようもないと考える。現状ではナタリアの気持ちを立て直しようがないと・・・












・・・それでマルクト側に戻ってきたルーク達は残っていた面々に説明をした。キムラスカ側でのやり取りについてを。



「・・・という訳ですから、キムラスカの方々を一時ダイクロフトへと案内する事になります。一応最低限の兵士は残して案内した後に兵士を完全撤退で、そしてここからはダイクロフトの皆さんへのお願いになりますがセントビナーの人々も救ってはいただけませんでしょうか？それでダイクロフトだけで食糧事情を賄うのはアクゼリュスの皆さんの方々を受け入れている為に厳しい状況との事ですから、その後にマルクト領内の外殻大地上に戻ってカイツールとセントビナーの兵を降ろしてエンゲーブに戻ってもらい、非戦闘民をダイクロフトでエンゲーブ近くに行ってから降ろしてもらう・・・という風にしてほしいのですが、どうですか？」
「・・・僕はそれで問題ないと思うよ。こっちの食糧事情に関しても考えてもらってるようだしね」
「ただ後の事を考えるんなら外殻大地上に戻って早くグランコクマに戻る組と、ダイクロフトにそのまんま残る組って感じにまた分けた方がいいんじゃねぇか？来た時の辻馬車をダイクロフトに上げるにしたって数に限りがあるし、陛下達も早く状況を知りたいだろうしな」
「・・・そうですね。そうした方がいいでしょう。セントビナーまで落ちるなどピオニー陛下も思っていなかったでしょうし」
そこで説明を終えた後にセントビナーの救助やその後についてを要求するジェイドにクレスが賛同するが、ユーリからの再度の組分けの提案とその理由についてを告げられ納得する。そうするべきと。







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