口火を消すという意味

(ルーク・・・何があったの・・・それとも私が何か間違っていたというの・・・?)
・・・そして休憩所に入ったティアは近くにあったベッドに腰掛けて考え込むのだが、周りにいたアッシュ達までも含めて遠巻きに様子を見ていた事に気付いていなかった。虚ろな目で下を向いて何も瞳に写していない、どこか危うさと怖さを兼ね備えた姿に不気味そうにしていたことを・・・















・・・それで数時間後、外殻大地が完全に魔界に降り立った事でルーク達は休憩所の外に集まった。



「・・・皆さん、集まりましたね」
そこで障気が辺りを紫色に染める中、ジェイドが声を上げる。
「一先ず兵士に関しては大方の人数はダイクロフトに移っていただきました。後は我々がキムラスカ側に向かい一連の流れを説明してから、残りの兵士を引き上げさせる事になります。それで後に残っている説明に関してですが、つい先程あちらに使者を送りました。この事態に関して戦争の事は一先ず置いておいて、この場にいる我々で話し合うべきだと・・・それで了承をしていただいたのですが、送った使者から向こうに抱いた印象を聞くとやはり不安そうだったとの事です」
「やっぱりそうなんですね、いきなりそういう状況に陥ったから・・・」
「えぇ、ですから向こうを余程刺激するような事が無ければこちらが危険に陥る可能性は少ないと思います。あちらも予想外の状況で争う余裕などないでしょうからね」
それで状況の説明を行うジェイドにイオンも真剣に発言し、危険はそうないだろうと予想をつける。
「状況説明に関しては以上ですが、早速あちら側に向かいましょう。セントビナーも魔界に落ちたと言いますから、こちらとしてもあまり時間をかけたくはありません・・・ではルークにナタリア、後はダイクロフトの方々から説明兼護衛役に何人か来てください。その他の方々はこちらで待つか、ダイクロフトに向かってください」
「僕は行かなくていいんですか?」
「あくまで状況説明ですから、二人の生存が伝われば問題はありません。ですのでイオン様は待機していてください」
「はい、わかりました」
それで向こうに行くと言うジェイドにイオンは自分はと聞くが、大丈夫と返され安心したよう頷く。
「では説明兼護衛には俺とジュディスにヒューバートが行こう」
「決まりですね、では行きましょうか」
「えぇ、そうしましょう!」
(・・・何か不気味なくらい静かに決まったな、これまでだったならティアが私も付いていくとか言ってたのに・・・)
そこにユージーンが早々と誰が付いていくのかを決め、出発しようとナタリアが意気込むがルークは内心でティアが静かなことを不審に感じていた。だが気になるからと後ろを振り向く事も出来ず、ジェイド達と共にキムラスカ側へと歩き出す。



「・・・随分と久しぶりに感じてるのではありませんか、ナタリア?」
「?・・・いきなりなんなんですの、ジェイド?」
「いえ、貴女がアッシュと離れてルークといることについて言っているんですよ」
「っ!・・・そ、それは・・・」
それでキムラスカ側に向かう道中でジェイドがナタリアに話し掛けるが、意味をよく分かっていなかった様子に率直に言うと途端に思い出したとばかりにルークに気まずげに視線を向ける。
「(あ~・・・ジェイドの事だからナタリアが俺とナタリアのどっちを選ぶか気になったんだろうけど、この状況ならちょうどいいかな)・・・一々俺の事を気にすんなよ。お前があいつの事を気にしてたのは俺の方がジェイドよっかよく知ってるんだしな」
「え・・・ルーク・・・?」
そんなジェイドに乗っかるようルークは冷やかな態度で気にしてないと返すのだが、ナタリアはショックを受けたとばかりの目を向ける。まさかルークがそんな風に言うと思っていなかったとばかりに。









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