口火を消すという意味

「・・・では気を取り直して、早速私は兵士をダイクロフトに案内するようにしたいと思います。リオンには私と説明の為に来てもらいたいのですがよろしいですか?」
「あぁ」
「そういうことですから他の皆さんは休憩していてください。しばらく時間がかかりそうですから」
「あぁ、そうさせてもらおう」
ジェイドはすぐに気を持ち直してリオンに確認を取った後で休憩するように言い、ウィルが代表して頷いて返す。



・・・そしてジェイドとリオンが兵士をダイクロフトに送る為に場を離れる中、一同はルークの所に集まる。
「よう、そっちはどうだい?」
「別に問題はねぇよ、キムラスカも仕掛けちゃ来なかったしな」
「そうか」
ユーリが気軽にかけてきた声にルークは普通に答え、何事もなく返す。
「それよりルーク、貴方余計な事は何もしなかったでしょうね・・・?」
「余計な事ってなんなんだよ・・・ジェイドが軍をまとめるって言ってた間、俺達は待ってろって言われたから待ってただけだよ」
「っ・・・そう・・・」
(もう今更だから反応もしないでおくか・・・どうせって言ったらなんだけど、何かって聞いたってティアが答えを返してくれるなんて思えないし、言う必要はないって苛立つだけだろうしな・・・)
次にティアが突っ掛かるように言葉をかけてくるが、そんなことあるわけないと理由をつけ平然と言い切るルーク。ティアはまたなんとも言い難い様子で会話を切るが、ルークは内心で決めたのもあるが表面上ですらもうリアクションを取らなかった。もう無益であると確信した為に。



(・・・どうして?今までのルークだったらここで何なんだよとか言ってくるはずなのに・・・反応すらしないなんて・・・)
だがその反応にティアは逆に何故と戸惑っていた、ルークらしくないと。
「ね「それよりもルーク、準備はいいのですか?彼らの説得をするための準備は?」・・・」
すぐに疑問をぶつけようとしたティアだが、ナタリアが意気揚々と説得の準備はと言い出した為に口をつぐむ。
「・・・まぁな。それよっか休んどけよ。しばらく時間はあるんだしいきなり行く訳じゃねえんだしよ」
「えぇ、そうさせていただきますわ」
「お前らもこっちで休んどけよ。どうせ待つくらいしかやることねぇんだし」
「そうね、そうしましょう」
ルークは当然とばかりに返した後にアドリビトムの面々にも休むよう言い、ジュディスの返事と共に一同は休憩所へと足を運ぶ。
(あれ?ルークは中に入ろうとしていない・・・でもこれは好機ね、どうして聞かなかったのかを聞かないと・・・)
だがルークはそこで足を止めて動こうとしなかった為にティアは不審に思うが、チャンスとそちらに近付く。
「・・・入らないのかしら?」
「しばらくあそこにいたからな。それにアッシュと顔を合わせてたら何があるかわかんねーから外にいようって思ったんだよ」
「そういうこと・・・一つ聞いていいかしら?」
「何だ?」
「貴方、いつもだったらさっきの私に何か言ってたのに何で何も言ってこなかったの?」
「・・・はぁ?」
そして会話もそこそこに本題についてをティアは探るような視線を向けて切り出すが、ルークは心底から理解出来ないとばかりの声を漏らす。
「・・・んじゃ逆に聞くけど、あそこで何か聞いたら俺の質問に答えたか?何を考えてたかをよ」
「っ・・・それは・・・」
「・・・これまで旅をしてきて少しはお前の事は分かった。お前がこれは言いたくないし聞かれたくもないって思ってる瞬間はいつなのかってな。俺はさっきの態度でその瞬間が来たと思ったから何も言わなかっただけだ、何か聞いても俺の質問に対する答えは返ってこないだろうって考えてな」
「っ!?(・・・確かに、私は何かって聞かれても答えるつもりはなかった・・・けどまさかそれでルークが、こんな風に考えて言ってくるなんて・・・!?)」
そしてルークから思い返せとばかりに自分の行動を読まれた言葉の数々にティアは表情を一気に青ざめさせ、今までアドリビトムのメンバーからかけられていた言葉に対して抱いていた怒りとは違い恐怖を抱いた・・・ルークがそこまで物を考えた上で、自分に対して何も言わないことを選択したという事実に。









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