かつての始まりは既に変貌している

「ふぅ・・・このように我らはソーサラーリングを用いれば特殊な技能をいくつか使うことが出来ます。それらは貴方の助けになるでしょう」
「・・・なぁ、本当に俺に仕えるってーのか?別に俺お前みたいなチンチクリンに仕えてもらいたいなんて思ってねぇんだけど」
「これはチーグル族に時が来たら絶対に守れと代々伝えられてきた言い伝えで、是非とも貴方に季節が一巡りするまでお仕えさせていただきたい。例え何度断られようとも諦めませんぞ」
「チッ・・・わーったよ。断ったって諦めねぇっつーんなら認めてやるよ。けど季節が一巡りするまでだ。それ以降は俺は知らねぇからな」
「ありがとうございます」
そんな中で空に浮かび終わり改めて仕えたいと言い出す長老に嫌そうな顔をしていたルークだが、その真剣な様子に吐き捨てるように許可を出す。
「では我らの中から貴方の供につける者にこのソーサラーリングを渡します・・・ミュウ!」
「みゅみゅう!」
(あ・・・これはミュウなんだ、ってちょっと待て。この際だからどうせならこれをきっかけに火事の事について聞けるように流れを作ろう・・・!)
長老は頭を下げた後にミュウを呼び出し群れの中から前に出るが、その中でルークは火事の件に話を誘導しようと考える。
「あ?お前が来るんじゃねーのか?つーかなんで今呼んだこいつってお前勝手に決めてんだよ?」
「ルーク・・・そんなに言うことないじゃない」
「・・・それに関しては説明しなければなりませんな。ミュウでなければならないわけは・・・実はミュウはつい最近の事でここより大分北にもまた森があるのですが、その森にミュウが火をつけ火事を起こしかけてしまったのです」
「火事を起こし、かけた?・・・な~んか曖昧な言い方で微妙に苛立つんだが、どういうことだよ?」
それで訳を言えと強く言うとティアが非難染みた声を上げるが長老は構わず理由を告げるが、ハッキリしろと更に強く言う。
「・・・ではまず先に説明をしますが、チーグル族と言うのは火を吐く事の出来る一族なのですがそれはあくまでも大人だけのものでいわば火を吐ける事が一人前の者だとの認識があります。それでですが後でミュウに話を聞いた所、北の森で火を吐く練習をしていた時に偶然で火が出たらしく、その火が草についたらしいのですが・・・炎が森を包む前に譜術が火を消したらしく、その譜術を放ったのはエルフだったそうです」
「エルフ・・・?」
それで前置きをした上で火がついた理由・・・そして結果としてエルフがやったと長老が述べた事に、ルークもティアも眉を寄せる。
「我々もエルフに会ったことはそうないが、彼らは森の住民と呼ばれる存在・・・森の奥深くにいてもそう不思議ではないと思いはしましたが、後で話を聞いて彼らに助けられたと言われて私も驚きました・・・ただそのエルフ達は火を止めた後はすぐにミュウの元から離れたそうですが、ミュウが誤って火を森につけてしまったのは事実・・・ですのでミュウにはその反省も兼ねて、貴方に付き合っていただこうと思ったのです」
「ふ~ん・・・って間違えて火を吐くような奴を俺につけんのかよ!?やだぞ俺そんなの!」
「それは私からそのような事はないように言いますので、どうかお願いいたします・・・」
「・・・だーっ、くそっ!変なタイミングで火を吐いたらぜってぇ追い出してやっからな!それはお前がちゃんと言っとけよ!」
それでエルフに助けてもらったことからミュウが選ばれた理由に話が移りルークはすぐに嫌だと抗議するが、真剣に頼みこむ姿に頭を苛立ちながらかいてから指を指して結局は条件を守ればと最後には受け入れてやると叫ぶ。
(・・・まぁライガ達が無事ならいいか。エルフって存在がいたからこそだろうけど・・・エルフって言うとルミナシアでも会ったことはなかったな・・・ハーフエルフならアーチェにジーニアス達がいたけど・・・まぁルミナシアでもだったけどエルフはここでも警戒心が強い種族みたいだし、無理に探すのは止めとくかな。本当は礼でも言いたいけどな・・・)
そんな賑やかな態度をする中でルークはエルフについての知識に経験を心中で浮かべていき、そっと感謝を浮かべた。ライガ達にアリエッタの命運が変わるきっかけを与えてくれたエルフ達に・・・










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