口火を消すという意味

「では私は軍の方に向かいます。おそらくキムラスカ側はこちらより混乱しているので問題はないでしょうが、その混乱からこちらになりふり構わず攻撃されても面倒ですから一応の備えはしておくためにね」
「あぁ、分かった」
それでジェイドは備えの為にと休憩所から出ていき、ルーク達はその姿を見送る。
「・・・ヒューバートさん。ジェイドさんが言ったような事になる可能性はありますか?」
「相当低いでしょうね。ジェイドさん自身が言ったように外殻大地の降下でキムラスカ側は混乱するでしょうし、上層部から外殻大地が沈下したからとどうするようにと指示が来るのは時間的にも有り得ませんし、降下した後では外殻大地上から指示を出そうにも出せない状況になります・・・それに何より魔界に降下したなら障気により、争うような気にはならなくなるでしょうしね。それこそ混乱から気がどうにかしない限りは大丈夫でしょう」
「そうですか・・・よかったです」
アニーはそこで戦争は大丈夫なのかとヒューバートに確認すると、まず大丈夫と根拠を語る姿にホッと胸を撫で下ろす。
「ただ大丈夫かな・・・グランコクマじゃセントビナーがシュレーの丘のパッセージリングの操作をしたら降下するって説明しなかったけど・・・」
「あの時点でセントビナーも一緒に降下するとそれこそ預言めいたことを言えば、より面倒になったでしょうからね。何故分かるのかと・・・まぁ後でジェイドさんにでもダイクロフトからの監察結果という風に報告すれば、セントビナーの方々も救いに行くことを提案してくるはずですし、もしそうしなくともこちらから提案する事も可能だと思います」
「・・・そうか、そうだな」
そこでルークがセントビナーに触れてなかったことに少し暗い面持ちになるが、ヒューバートの返答に少し気を持ち直して頷く。
「後はシュレーの丘に行った皆さんが戻ってきたならダイクロフトの装置もこの付近に設置し終わる予定ですが、降下が終わったならキムラスカ側に進言するように言った方がいいでしょうね。マルクト側が一斉に兵を引くどころかいなくなったとなれば、いざどうするかと選択を提示した時に不気味に思われるでしょうからね」
「あぁ、確かにそういう可能性は十分有り得るか・・・」
「ただその時の役割としてはナタリアさんとルークさんが出た方がいいでしょう。表向きの戦争の理由は二人がアクゼリュスと共に消滅してその報復の為ですから、お二人が出てある程度の事情を説明すれば向こうもどうしたものかと考えるでしょうからね。もっとも、必要以上にナタリアさんに話をさせるようなことをしたなら本当に大丈夫かどうかなどロクに考えず助けようと言い出すでしょうから、注意は必要でしょうけどね」
「あ~、確かにな・・・ただそれはヒューバートから皆が全員集まった時に頼む。俺から言うと何かあったのかって言われることもそうだけど、アッシュからテメェの馬鹿げた考えに付き合う義理はナタリアにはねぇとか文句を言われる可能性もあるしさ」
「分かりました、僕からそう言いましょう」
ヒューバートは続けて後の取るべき対応についてを発案していき、ルークはその案に頷きつつ後で言ってほしいと頼む。















・・・それから数時間待ったルーク達の元に、ティア達がやってきた。











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