口火を消すという意味

「・・・ここがセフィロトへの入口か」
「こんな仕掛けで入口が隠されていたとは・・・」
丘の一部となっていた岩肌がいきなり消えて明らかに人造的に作られた扉を前にし、アッシュとナタリアはまじまじと入口を見据える。
「・・・一つ聞いていい、アッシュ?」
「・・・なんだ、女?」
そんな中でルーティがアッシュに話し掛け、訝しそうに返す。
「あんた六神将でタルタロス襲った時もあそこにいたんでしょ?今更だけどイオンをさらってまで謡将達が何をしようとしているのか、目的に見当はつかないの?今はこっちにいるけど、そこまでしたんだから少しくらいは謡将達から何の為かって聞いてるんじゃないの?」
「チッ、そんなことか・・・」
「そんなことって簡単に言うけど、情報が欲しいのは私達だけじゃなくナタリアも一緒・・・それを話さないってんなら、あんたはナタリアにも何も話さないって事になるわよ。それ分かって言ってんの?」
「っ・・・」
「アッシュ・・・」
ルーティは今更と言いつつもヴァン達の目的についてを質問するがあからさまにやる気のない声に、ナタリアを引き合いに出して脅すように言えば当人がそうなのかと言わんばかりに視線を向けていることもあり苛立ちと苦さを共に我慢するような顔になる。
「・・・ヴァンの野郎がどういう狙いがあったのかは確かなことは俺も聞いちゃいねぇ。が、何個か確実な事を言うならタルタロスを襲うように指示を出したのはモースで、その中でヴァンの指示を受けていたリグレットから内密に導師をセフィロトまで連れていく為にタルタロスを襲うと言い出して俺はそれに従ったまでだ。それ以上の事は俺は聞いてねぇ」
「そうだったのですか・・・」
「いやいや、ナタリア。あんたさも問題ないみたいに聞いてるけど、今のアッシュの感じだと大してマルクトの兵士を襲うことは問題ないみたいな感じに言ってたじゃない・・・そこのとこも含めて、アッシュが最終的に何を目標にしてんのかこの際ハッキリした方がいいんじゃないの?」
「えっ!?」
「いきなり何を言う、テメェ!?」
(本当にいきなり何を言い出すのこの人は!?折角アッシュが大人しくしてくれているっていうのに!)
それでも仕方なしと言ったようにアッシュは答えナタリアも納得するがルーティの呆れたような声にナタリアは驚愕し、アッシュはルーティの前に行き顔を突き付けて睨み付けティアも何事かと目を見開く。
「ハッキリ言ってあんたの目的が分からないから言ってんのよ、私は。あんたが平和を望んでるように見えるかって言われても、少なくとも平和主義者ではないでしょ。ルークの事もそうだし、タルタロスの事もね」
「だったらなんだってんだ!」
「今はいいかもしれないけど、もし事が済んだ後あんたがキムラスカに戻らなかったり神託の盾から出るなんてことしたらもしかしたらジェイドの事だし・・・あんたに追手をかけるなんてこともあるんじゃないの?」
「なっ・・・!?」
「なっ、何故ジェイドがそんなことを!?」
「今はまだ状況が状況だからそうする訳にいかないのだろうけど、アッシュがタルタロスを襲った事実については変えようはないわ。それにあんた、神託の盾として今一番微妙な立場にいること理解してんの?イオンは気にしないし庇いそうなのは目に見えるけど、神託の盾としてヴァンの所にいて事が起きてから裏切ってこっちに来て・・・多分戦争を起こさないように事を済ませたって、あんたが他のダアトの人間からロクな扱いを受けるとは思えないわ。そんなことなら最初から言えば早く問題は解決していたとか、そう言ったことを言われる形でね。あんた、そんなこと言われて怒らずジッと耐えれると思う?考えてみなさいよ」
「っ・・・!」
そんな顔を前にしても大してルーティは気にした事もなく話を続けるのだが、その中で事がうまく進みダアトに残った場合のシミュレーションを聞いてアッシュは悔しそうに歯を噛み締める。怒らない訳がないと、そう考えたが為に。








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