口火を消すという意味

・・・カイツールとシュレーの丘に向かうために二手に分かれて動く事になったルーク達。その中でしばらくは辻馬車も並走する形で走っていたのだが、セントビナー付近で分かれる事となった。















「・・・着きましたね、カイツールに」
・・・そして数日、辻馬車を急いで飛ばしてきた事もありルーク達はカイツールのマルクト側へと無事に辿り着いた。
辻馬車を降りたジェイドの言葉に、三人は国境の方を見る。
「・・・どうやらまだ戦争は始まってねぇか」
「ですが兵士の方々は明らかにピリピリしています・・・いつ戦争になってもおかしくない状況に警戒しているんでしょうね」
「ジェイドさん、早くここの責任者に会いに行きましょう」
「えぇ、分かっています。行きましょう」
ルークにヒューバートにアニーの真剣な言葉にジェイドもすぐに頷き、軍の駐屯地に向かう。



「・・・貴方は、カーティス大佐ですか」
「報告の手紙は来ているようですね・・・状況はどうですか?」
「はっ、戦争の宣言があってからキムラスカ側は軍備を整えています。我々もそれに備える為に軍備を整え警戒していますが、様子から見て後数日もしない内にはあちらから仕掛けてくると思います」
「そうですか・・・それなら間に合いそうですね」
それで駐屯地に入った所で代表者とおぼしき兵士がピリついた空気を滲ませながらルーク達に気付き、ジェイドと会話をする。
「・・・ではとりあえずこちらの手紙を渡しておきます。この数日限りになるでしょうが、私が臨時で司令官を務めるようにとの命令書になりますからよろしくお願いします」
「はっ、確かに受け取りました」
ジェイドはそこで懐から手紙を取り出し、兵士に手渡すと三人へと振り返る。
「とりあえず貴方達は休憩所で休憩していてください。臨時の責任者であるとは言え、どのように兵が配置されているのかとかどう対処するのかということを協議しなければいけませんので」
「あぁ、分かった・・・んじゃまた後でな」
それで三人に休むよう告げるジェイドに、ルークはすぐに頷いて駐屯地から出ていき二人もその後に続く。









「・・・まだ戦争は始まってなかったか・・・よかった・・・」
「一応間に合いそうですね・・・シュレーの丘の操作についても」
そして休憩所に入って三人で会話をするのだが、ルークは先程までと違い素で心底からホッとしたように漏らしてヒューバートもそれが当たり前とばかりに普通に答える。
「けどよかったですね、ルークさん・・・あちらにミュウを行かせることが出来て」
「あぁ・・・向こうはソーサラーリングがないと、面倒な仕掛けがあるからな。こういう時のミュウの聞き分けのよさに感謝しないと・・・」
アニーが続けてミュウについてを切り出すと、ルークも同意する。



・・・そう、ここでルークが普通にしているのはジェイドの目がないからと言うのもあるが、それ以上にミュウがいないからだ。

シュレーの丘のセフィロトに限ったことではないが、セフィロトにはミュウとソーサラーリングを用いてでなければ面倒な仕掛けが何個もある。だからルークはアッシュがジェイドに色々言った後にクレスにミュウを渡したのだ。こいつらの方が人数が多いから手助けをしてこいと。

勿論ミュウはルークと一緒に行くと言ったのだが、離れろではなく手助けをするようにと言ったことで泣く泣くクレス達の方に行ったのだ。ご主人様の言うことなら、と・・・










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