崩壊し行くかつて

ティアの言葉は良くも悪くも真っ直ぐである。自身の理想とする兵士としてあろうとしていることもあるが、それ以上に本人が言いたいと思ったことを対等か自分以下と思った相手に対しては遠慮などせずにそのまま伝えてしまうために。そんなティアによる危険と言うのは、アッシュとナタリアが最終的に戻ると言った上でルークとの決別を決めた時にそれでいいのかと言い出すことにある。



・・・ここでルークとの決別と言ったが、アドリビトムのメンバーはルークが考えていたようキムラスカに下手に残るよりは離れた方がいいと考えている。無論、一人ルークが辛い状況に陥るようなことがないようにする形でだ。そしておそらくルークも今尚そうするべきと考えているだろうことから、特に反対することはなく目的が合致する物と皆は見ている。それにルークにも伝えていない最大級のかくし球がまだあるのだが、そこについてはまだ置いておく・・・



話を戻すと、アッシュとナタリアの件についてもたつくような事があればルークも抵抗はするだろうが、こればかりはティアはこれまでの旅の態度など比較にならないレベルで断固として阻止にかかることだろう。今のティアはただでさえガイにアニスという昔の仲間二人を予想しない形でアドリビトムのメンバーに離脱‘させられた’と思っているのだ・・・その上で最後の結果が三人がまとまることがないばかりか、最大の目的であるルークが二人と離れるなどあってはならないことと考えるのは容易に見当がつく。

ただ、ならばそこでティアが状況を逆手に取って、キムラスカを出たルークを自分の元に来させようと画策するのではないかという懸念も出てこなかった訳ではないが・・・それはまずないだろうと一同の中で予測が立てられた。ならどうしてそう予測出来るのかと言えば、ティアが望むようなシンデレラストーリーのシナリオではないからだ。

・・・自身は兵士としての顔を保たせて必死で隠そうとしているが、ティアの好きなものというのは可愛い物である。いや、正確に言えば少女趣味と言った方がいい。そしてその少女趣味は恋愛面で言うなら、白馬の王子様を待ち望む姫という在り来たりなシチュエーションが好みという物だと見ている。人生経験豊富なフリをしつつもその実は色々と引き出しの少ないティアは、様々なシチュエーションを考え出せないであろう為に。

だからこそそんなティアの頭の中身としてはルーク達以外ならともかくとしても、ルーク達に関しては許せないのだ。アッシュ達とも仲良くなった上で自身がルークと結ばれるという、皆仲良くなって自分は望んだ相手と結ばれてめでたしめでたしというハッピーエンド以外は・・・ただ現実的に見て三人がキムラスカに戻ったとて、以降もずっと仲良くやれるかもそうだが自分が仲を取り持つことを考えていないのはいかがなものかという物になるが・・・そこについては割愛しておく。不毛な展開もそうだが意味のない先を想像する理由もないために。

・・・そういった理由があるからこそティアは三人が離れる事を避けようとするとアドリビトムのメンバーは見ている。自分の理想の為に。だがそこでアッシュとナタリアが既に決意を固めた上でルークがキムラスカから離れると二人に言ったなら、どうなるか?・・・まず間違いなく三人の説得にかかろうとするだろうが、ナタリアは揺らせてもルークとアッシュの二人はどうあっても揺らせないだろう。特にルークが意志を固めていると見たなら、一層アッシュは意固地になるのは想像がつく。そうなればティアでは言葉で説得するなど不可能と言える。

・・・ただそれでもティアはしつこく諦めないだろうというのは想像がつくが、無論その問題についても考えはある。しかし今は・・・



(ただこれからどうなるかはまだハッキリとは予測はつかん・・・不測の事態はいつ起こるか分からんからな。まずは一つ一つ片付けていこう、障害を)
ユージーンはそこから一転して考える、慎重にこれから事を進めるべきと・・・そう、今の状況はアドリビトムのメンバーにとっても気の抜けない状況なのだ。一つ状況を過てば自分達の考えは一気に台無しになり得ると、そう十分理解しているからこそユージーンは内心で気を引き締めていた。これからも油断すまいと・・・















変わらない物は変えようのない物以外にない



変わると変えるは似ているようでいて遠い



変える事を決断するからこそ、変わる物があることを愚者は知らない・・・



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