崩壊し行くかつて

だが何故アッシュとナタリアの二人をくっ付けることがルークの安心に繋がるのか、と思う者もいるだろう。二人がくっつけばそれだけルークが蔑ろにされる可能性が高くなるのでは、と。事実、アドリビトムの面々もその事が気掛かりになっていたのだ。二人をくっ付けるにしたって、ルークの安寧の為にどうするべきかと。

しかしそうやって悩む必要が無くなった上でそうしようと決断した理由は何かと言われると、当のルーク本人からある答えが出てきたからである。それは・・・



(ルークが何としてでもキムラスカに残り、二人との関係をより良い物としたいと言ったならまだ俺達もどうやっていいかと考えていただろうが・・・ジュディスがルークからキムラスカに残るつもりがなく二人の為に退くことを選ぶつもりだったと聞いたのはよかった・・・あれで俺達の方向性も決まったのだからな・・・)
更にユージーンは思い返しながら考える。ジュディスからの報告の事を。



・・・そう、ジュディスからの報告の中身を受けてである。流石にジュディスと言えどもその時に起こしたことを言うような事はしなかったが、ルークから出てきた本音についてはアドリビトムのメンバーにとってはこれだと待ち望んだ物であった。ティア達との仲をこの世界ではまた前と似たようにしようと考えているのではと思っていたが、ルークはそう思っていなかったといういい意味で予想外な物で。

ただここで重要なのは、アドリビトムのメンバーはルークにとって望ましい展開に持っていこうとしているのであって、ティア達にとって望ましいことをしようとしているわけではない・・・ただ、ルミナシアの時のように自分の判断のみで全て行動に移してほしくないだけなのだ。

・・・今となってはアドリビトムのメンバーも理解出来る。ルークは言葉にするのを無意識に避けようとしているが、ティア達と一緒にいようと選択することを諦めた訳を。そしてアッシュとナタリアの二人をくっ付けたなら後はキムラスカに戻らなくてもいいと言う気持ちも、ジュディスから聞いて逆に納得したくらいだ。ルークがどのような意志で動いてきたのか、それが改めて明らかになった上に秘められた本心が一貫していたために。

そしてそう知ったからこそ、アッシュとナタリアの二人をくっ付けることに方向を確定したのだ。無論、ルークの事を忘れずにいる形でだ。ただ何故二人をくっ付けることに方向性が行っているのかと言えば、例えに出したようにアッシュが下手にキムラスカを避けるようなことがあれば自動的にルークに多大な労力がかかりかねないからだ。それこそアッシュをキムラスカに戻してからも、戻した後も。

その上でティアはそんな関係を良しとした上でルークを求めるだろう。散々ルークに求めるだけ求めて自分は愛という名目の実質はただの押し付けの言葉を・・・それらを避けるためには何をすればいいかと、アドリビトムのメンバーが考えたのが先の行動である。



(そしてその上で二人のどちらかだけでなく、二人ともにこういう風に互いを意識するよう言えたことは大きい・・・ナタリアはルークのことも思い悩むだろうが、下手にルークから視線を背けさせるような事をしていたら土壇場でゴタゴタしかねんからな・・・主にティアのせいで)
そのまま成功と改めて確信しつつも、手順次第でユージーンはティアの邪魔が入ると感じていた。








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