今の例えの続きになるが、もしルークがそんな立場に立ったとしたならティア達はどうルークとアッシュ達に言葉を向けるのか？・・・それはかなりの確率においてアッシュやナタリアを責めるのではなく、ルークに立場をどうにかするために動くべきだとせっつかせる言葉だろう。ルークが本意で起こした行動の結果でもないのに、アッシュの気持ちを勝手に周りが汲んで動いた結果であるにも関わらずだ。

おそらくその時ティア達は一緒に旅をしていた時の感覚を持ってルークに会いに行くか手紙を出すなりにして言うだろう。貴方の努力が足りなかった・・・とでも。そしてそう言った時にルークが尚もアッシュとの関係を改善したいと思っているかなど、考えてもいないだろう。

・・・おそらくルークも関係の改善が出来るならしたいとくらいは最初は思うだろう。だがそれでアッシュが応えない場合に、自己否定の言葉をかけられた上で向こうに認められるまで何度も行くように言われたならルークの心はどうなるだろうか？・・・当時のルークの心境を考えるとアクゼリュスのこともあって一気に追い詰められていくこととなるだろう。アッシュと『絶対に』仲良くならないとティア達に見捨てられるのではないかと。



・・・ティア達は自分達の発言が少なからずルークを追い詰めていたと言うことを全く考慮していない。いや、むしろ自分達の厳しい言葉がなければルークは変われなかったのだと信じて疑ってはいない。だが変化したからといって厳しい言葉に対しての免疫が出来る訳ではないどころか、場合によってはその免疫が無理に毒を克服しようと暴発する事すら有り得るのだ。蜂に一度刺されたから平気と二度刺され、一度目よりも酷い状態になることもあるように。

そういった視点から見れば、『絶対に』諦めてはならないと動かざるを得ない精神状態にさせられるルークがいつまで持つかと言われると・・・そう長くはないと首を横に振らざるを得なくなるだろう。いつまでも全力で頑張れる人間などいないし、エルドラントのような余程追い詰められた状況でもなければアッシュがルークの事を平穏な時に認めるような事は考えにくい。

そしてティア達はそんなルークが自分達のせいで追い詰められている事など知らず、『諦める』という選択肢を用意する事はないだろう。唯一ガイは諦めてもいいんじゃないかといった風に言いはするだろうが、だがそれでいいのかといった風に問い掛けるだろう・・・言葉の端に諦めるのはいけないとばかりの気持ちを込めて。

・・・そしてルークはそういった声に追い詰められていく内に、耐えることが出来なくなってプツン・・・と糸が切れてしまう事だろう、決して認められない現実に疲れはてる形で緊張の糸が。









・・・これらの推測は絶対、と言うわけではない。だがアドリビトムの面々はもしこれから人間関係に手を加えなかったなら、これらがかなりの確率で起きるだろうと確信している。ヴァン達に余計な活動をさせればその分の被害も多くなるため、一度で全て決着をつけようとしていることからおおよそ人間関係は予測したようになると。そうなれば例えアッシュがキムラスカに戻ろうと戻るまいと、ルークにとってろくな未来など訪れる筈がない。

その上で最もこれから厄介なのはやはり、かつてを引きずりルークに対しての歪んだ想いを抱くティアである。ティアとしてはアッシュとナタリアをくっつけた上で、自分がルークとくっつく未来というものを創造するつもりでいるのだろう・・・前者に関してはまだいいが、後者に関してはアドリビトムのメンバーは是が非でも避けたい物だ。何故ならルークにとって一番の負担になりかねないのがそのティアだからだ。以前のようなルークとしての性格を望んだ上で見守ると言いながらも、その実は手を出そうとしない人物であるために。

・・・だからこそアドリビトムのメンバーは考えたのである。ティアに先駆けてアッシュとナタリアの二人をこちらのやり方で先にくっ付けようと。









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