崩壊し行くかつて

・・・そもそもからしてルークはアドリビトムのやろうとしていることという物をクレスから聞いて知ってはいる。だからこそその中身が全てを話していないということを知っている。アドリビトムの面々もそうだが、ピオニーもそう言っていない事もだ。この事に関しては謁見の間でジッと話を聞いていたから、ある程度はルーク自身予想はしている。それはその先を言ってしまえば面倒な事になると確信したからである・・・主にティア達の反応が。

故にアドリビトムやピオニーが敢えて先を言わなかったことについては理解をしてはいるが、事ここに至って理解出来ないのは・・・ティアである。

今までの旅でも彼女の行動があまりにも昔と違いすぎていた為に何故こうなっているのかという疑問は前から持ってはいたが、未だにアドリビトムの面々に対して敵対心を持っていることもそうだが、辻馬車に乗る前に何とも言い難い粘着的な視線を送ってきた事もルークの中に何故という感情を再び強く抱かせる物となっていた。アドリビトムの者達をそこまで嫌う理由もそうだが、その視線の意味についてを。



(本当に一体何なんだ・・・ティアは何を考えてるんだ・・・?)
顔を動かさないようにしながらルークは真剣にティアの真意について何故と考える。
(一番手っ取り早いのはティアに直接聞くことなんだろうけど、それでティアが正直に返してくれるなんてまず思えないんだよな・・・ティアの性格だと関係無いって言うだろうし・・・それに理由が分かったって、今のティアと皆が仲良くやれる姿が全く想像出来ないんだよな・・・これからの事で皆の考えたような流れになったら、真っ先に反対や不満を表しそうなのはティアだろうし・・・私達に言わないでって・・・)
そこからティアの内心を知りたいと考えるルークだったが、これからのもしもの場合の事を思うと気が一層重くなる。対立は絶対だと、ほぼ確信しているために。
(・・・皆はそう言われることを分かっているし覚悟してる。だから俺にだけ先の事を話した・・・もう潮時なのかもな・・・俺は皆とこっちのティア達がルミナシアのティア達と同じように仲良くなってほしかったけど、もうそれは諦めた方がいいんだろうな・・・そしてその上で俺はティアも含めて、アッシュ達とどう新しい形で向き合うか・・・それを決めた方がいい時期に差し掛かってるんだろうな・・・オールドラントの新たな未来の為に、俺はどうするべきかってのを・・・)
そしてアドリビトムの面々の覚悟についてを考える中で、自分の選ぶ道についてをルークは気持ちが深く沈みそうになりながらも考えることに集中する・・・これからの事を考えその結果、ティア達との関係が以前より良くない物になっても覚悟する為に道を模索しようと・・・


















「・・・すみません、ナタリアさんにアッシュさん。少しいいですか?」
「えっ・・・どうしたんですか、すず?」
「・・・なんだ?」
・・・それで場は変わり、アッシュとナタリアにすずにユージーンが乗る辻馬車の中。
どこかぎこちなく沈黙して会話をしない目の前の二人に対して、すずが疑問の声を向ける。
「ナタリアさんにとって答えにくい質問であるのは承知してお聞きします・・・もし戦争を無事に止めて何事もなくバチカルに戻るとなったなら、貴女はアッシュさんとルークさんの二人にどうしてほしいと考えていますか?」
「えっ・・・!?」
「・・・おい、ガキ。なんで今そんなことをナタリアに聞きやがる・・・?」
一応二人とも聞く様子であったためにすずは質問するが、その中身にナタリアは驚愕してアッシュは苛立ちを抑えながら訳を問う。ルークとキムラスカに戻ること・・・どちらも二人にとって重要な話題であったために。







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