崩壊し行くかつて

「・・・私はそれで構いませんが、貴方はそれでいいんですか?」
「ピオニー陛下から書状来たらここを出発だってんだろ?つってもその書状も急いで書くって言ってたんだから、そろそろ来てもおかしくねぇんだろうし・・・だったらここで俺とこいつの事で時間食うくらいなら、俺がお前と行った方が早く済むからいいだろ」
「まぁそうですね・・・では貴方も私の方に来てください」
そんなティアを気にせずジェイドは訳を問うとルークは面倒だからと簡潔に返し、妥当とすぐに頷く。
(あぁもうなんなのよ!?・・・最悪アッシュがいるから会話の流れをうまく持っていきさえすれば、パッセージリングの操作だけは出来る・・・けど、当のアッシュがこんなことを言い出したから大佐だけならともかくルークと離れ離れに・・・時間がないのは分かるけど、腹立たしいったらないわ!でもアッシュにこんなことを言ったら余計に時間を食うのは目に見えてるし・・・!)
ティアはすんなりそう決まったことに怒りを盛大にぶちまけそうになりながらも、寸前で耐える。そうしてしまえばそう言い出したルークを苛立たしげに見ていたアッシュとの衝突により、時間を食うと分かっていた為に。
















・・・そして少し時間が経った後にピオニーからの書状がジェイドの元に届き、各自辻馬車に乗った。ティアの様々な念がこもった視線をルークが背中で受けながら。



「・・・よくあの場で自分から行くなんて言えましたね、ルークさん」
「あ~・・・なんつーか、ジェイドに選択してもらうより俺があぁ言った方が面倒にならないだろうって思ったんだよ。ジェイドが一緒にいろって言った場合もそうだけど、そうするにしたってどっちがどっちに行くかなんて話で衝突すんじゃねーかってな。んでしゃあねぇと思ったから俺からどうするかって言い出したんだよ」
「そうだったんですか・・・」
「こちらとしても助かりましたよ。もしこちらにアッシュが来るとなったら、自動的にナタリアを連れていかなければならない状況になっていたかもしれませんからね。もしあちらが戦争に早々と踏み切るようなことをした場合、どう止めていいものかと思っていたところです」
「ってことは向こうにあいつらをやりてぇって思ってたって事じゃねぇかよ・・・」
それでジェイドが乗る辻馬車の中、向かいに座るヒューバートが話し掛けてきた言葉にルークが答えて隣のアニーが感心した声を上げるのだが、ジェイドのらしい言葉にルークは窓枠に頭をコツンと当てる。
「・・・でもアッシュさんがあの場面であぁ言った事を言い出すとは思いませんでしたけど・・・」
「・・・まぁあそこで言うなんざ俺も思っちゃいなかったが、あいつの性格を考えたら別にいつ爆発してもおかしくなかっただろ・・・んでたまたまあそこだったってだけだろ」
「そうですか・・・」
(・・・まぁ確かに予想通りって言えば予想通りだけど、なんか色々予想外の事もあるんだよ・・・アッシュのタイミングもだけどここに来てティアがやけに苛立ってること、そして皆がまだ全てを明かそうとしないこと・・・)
そんな体勢など気にせず話し掛けてくるアニーにルークはそのまま気のないフリをして返すのだが、その内心は意外な事ばかりだと感じていた。今こうやって話しているアニー達の事も含めて・・・









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