崩壊し行くかつて

「・・・戻りました、陛下」
「あぁ・・・で、どうだった?」
「今すぐ使える辻馬車は4台だそうです。明日になれば数はまた揃うでしょうが、目立たない程に大規模にならない程度でいてセフィロトに向かうくらいでしたら妥当な台数ではあると思われます」
「まぁ確かにな」
そこでジェイドとピオニーが会話を交わし、辻馬車の事についてを周りにも聞こえるよう印象付かせる。
「ただ、出来るならカイツール側に辻馬車を一つ回せるなら回した方がいいかと思われます。まだ時間がかかると予想出来るとは言え、いつキムラスカが襲い掛かるとも限りません。もしもの事を考えこちらの意向を伝えることもそうですが、戦争を仕掛けられた場合はナタリア殿下の心情を考える意味を含めて、こちらもそうですがあちらの被害を抑える為にもそう言った戦いをする事を考えられる人材を送るべきかと」
「成程、もしもの時に備えてか・・・よし、お前の考えを取り入れて辻馬車を一台そちらに向かわせる事にする。その上で誰を行かせるかとなるが、それはお前が向かってもしもの場合は指揮を取れジェイド。本当ならアスランに頼むかセントビナーのグレンに頼みたい所だが、この件についてはあまり事情を知る者を増やしたくない。そう考えればお前以外にこの場でマルクトの代表となれて、自由に動ける人物はいないからな」
「分かりました、慎んで承らせていただきます」
(・・・重い・・・出来れば大佐には付いてきてもらいたいところじゃあるけど、今の状況と会話じゃそんなことは流石に言えないわ・・・マルクトはそれこそ下手をすれば滅びる事になるんだから・・・)
そんな中でジェイドが状況を良くする為の発案とその根拠を語るとピオニーも納得した上でそうするようにしろと命令し、頭を下げるジェイドの姿にティアも空気を読んで何も言わずに黙りこむ。二人があまりにも真剣だからこそ私心だけの発言は出来ないと、そう感じてしまった為に。
「じゃあジェイド、お前は辻馬車の乗り場に導師達を案内しろ。俺は今からカイツールの責任者に向けた書状を急ぎ書き上げる。それが出来上がったならお前達の元に届けさせるからそれまで待機していてくれ」
「分かりました・・・では辻馬車に乗る方は私に付いてきてください。ダイクロフトに戻られる方はそのまま外に出られるようお願いします」
それでピオニーの指示とジェイドの言葉により、一同は特に反論することもなく謁見の間を後にしていく・・・









・・・それでダイクロフトに戻ることにしたのはミントにリオンにフィリアにしいなにヒルダにカロルにラピードにフレンにアスベルという結果になり、グランコクマの外へと向かっていった。

そして辻馬車を待つ一同だが、そこで面倒な事が起こった。



「・・・ルークと一緒に行きたくないと、そうおっしゃっているのですか?」
「あぁ、そうだ」
辻馬車の前に立つジェイドに対し、アッシュは場の傍らで立つルークの方を向き苛立たしげな顔を浮かべる。
「この数日は顔を見ることがなかったから我慢してやったが、今からセフィロトに向かうには別に導師とあの女以外に必要はねぇだろう・・・一度てめぇらと一緒に行くと言ったことだ。それで一々コロコロ意見を変えるつもりはねぇ。が、そんな程度の事にあの屑と一緒になんざいたくねぇ・・・せめて俺とあの屑を分けろ、お前の意志でだ」
「・・・ふむ・・・」
(何・・・ルークに対する気持ちはともかくとして、アッシュのあの回りくどい言い方は?大佐にそうしてくれって言っているようにしか思えないし、大佐も多分その言い方に気付いてる・・・)
それでアッシュから要望がかかるのだが、極めてらしくない言い方を遺憾でしかないと言った様子で語る姿にジェイドは何を思っているのか判断しようのない声を上げてティアは流石に違和感を感じる。
「・・・わーったよ。んじゃ俺がジェイドと一緒に行くから、お前はセフィロトとやらに行けよ」
「え・・・?」
そんな場にルークが仕方無いと言ったように頭をかきながら近付いて声をかけ、ティアは呆然としたよう声を漏らす。











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