かつての始まりは既に変貌している

・・・ティアは辟易としていた。以前とあまりにも違いすぎるこの状況に。そしてその状況に甘んじてしまうことは断じて許される物ではなかった・・・そうしてしまえばチーグルの森に今の状況では行く理由が見つからない為に。
(今のルークなら間違えたとでも言えばチーグルの森に行く理由も誤魔化しが利くから全然行けるわ・・・!)
だからこそ先を行くティアはそっとほくそ笑んでいた。これで修正は十分に出来ると。












・・・そのようにティアが考える中、二人は歩を進めてチーグルの森に辿り着いた。



(・・・やっぱりここはチーグルの森、だよな・・・一体どうしたんだ、ティアは・・・?)
・・・ルークも経験があるため地図の読み方に方向感覚は十分にある。
森の入口にて薄々は確信していたがここに着いた事で、やはりと思うルークはティアに苛立たしげに顔を作って向ける。
「・・・おい、ここなんだよ?ここが国境だとかセントビナーだとかじゃねぇってのは分かるぞ。いくらなんでも・・・」
「・・・ちょっと、間違えちゃったみたいね」
「はぁ?間違えたぁ?・・・んだよ、無駄足じゃねぇかよ・・・」
そして抗議の声を向けるが、間を空けた気まずげなティアの返答にガクッと疲れたよう膝に手を当て腰を折る。
(・・・間違えたっつってるけど、以前のティアだったら地図とか方向感覚くらい分かるよな・・・本当にどうしたんだ、ティア・・・いや、それよっかこんな形でチーグルの森に来たんだから何があったかは調べたいけど・・・用事がないなら早く帰るって昔の俺は言うだろうし、チーグルに異常がないならあんまり関わらないでもいいと思うしな・・・元々チーグルもそんな人に関わるなんて望んでないだろうしな。ソーサラーリングはちょっと惜しくはあるけど・・・)
それでティアに顔が見えない中でルークは考えを巡らせるが、相手に関することはさておきとその中で出た結論はティアとは真逆な物であった。今の自分とチーグル、それらを考えた上で。
「・・・だーっ!くそっ!間違えたっつーんならとっとと行くぞ!んなとこでダラダラしてたって帰れねぇだろ、キムラスカに!」
「っ・・・ちょっと待って、ここまで来たのだから少し疲れたでしょう?だから少し休憩出来る場所を探して休憩しましょう」
「はぁ?・・・意味わかんねぇ。俺はさっさと帰りたいっつってんだろ」
「ここからエンゲーブまで戻るにしてもセントビナーに向かうにしても距離があるから、一度休憩をする必要があるわ。早くバチカルに戻るためにもね」
「・・・チッ、しゃあねぇな。さっさと休憩してさっさと帰るぞ」
(・・・なんだ、ティア?反論しても譲りそうにもないから引いたけど、やけに休憩を強調するよな・・・)
そして顔を上げ戻ると怒りながら言い出すルークだが、ティアは途端に早口になって休憩をと言い出す。初めは文句を言っていたが、押しの強さに譲る気がないと感じて疑問を感じつつ仕方ないと引く事にした。
「では行きましょう」
「はぁ・・・」
(人の事を言えた義理じゃないと思うけど、今度は俺がティアに振り回されてる気がするな。この感じは・・・)
そうと決まればと早々足を動かすティアにルークは半分本気でタメ息を吐き、その後を付いていく。









・・・とは言えルークもチーグルの森に全く来たくなかった訳ではないのですぐに考え直し、意気揚々と歩くティアの後ろを付いていく。そしてそんな状況で歩いていく内、すぐに二人は辿り着いた・・・チーグルの住む木のある場所へと。








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