「・・・で、どうなんだ？」
「っ、た、確かに私が彼らと仲が良くないというのは認めます・・・ですが私はマルクトに滅びてほしいなどとは望んではいません。ただその手段はどうかと思っただけで・・・」
「ならば聞くが手段云々はこの際問わん・・・お前はマルクトにどうしてほしいというんだ？言葉だけでキムラスカを説得しろと言うのか？正攻法でキムラスカを戦えというのか？それともその二つ以外に何かあるのか？・・・答えてみろ。なんなら打開策があるならそのまま言っても構わんぞ」
「そ・・・それは・・・（これはあまりにもピオニー陛下の当たりがキツいわ・・・確かにピリピリする気持ちは分からなくはないけれど、ここまで言わなくても・・・！）」
そしてすぐに空気こそ軽くなるが真剣な表情になり中身的にも妥当な答え以外は望まないといった空気のピオニーに、ティアは口ごもりながらもそこまで言うことではと内心で考える・・・かつてにすがりつきすぎているからこそマルクトがどれだけ驚異を感じているのか、それを全く考慮していないしズレを実感してもいない形で。
「・・・話を戻すが、こちらは戦争を仕掛けられた側だ。大義名分の真偽はどうあれ、国を守るには抵抗する以外に道はない。それがマルクトを束ねる俺達の役目だ・・・その為ならどんな手でも使う」
「陛下・・・ですが・・・」
「まだ納得がいかないと言うならこれも付け加えて言おう・・・向こうにはダアト、いや正確にはモースが付いている。是が非でも預言を実行しようとどのような手でも打ちかねない人間がだ」
「「！！」」
そんなティアに見切りをつけて改めて話をするピオニーにナタリアは弱々しく声を上げるが、続けられたモースの存在を示す言葉にイオンもハッとした。
「おそらくパダン平原が落ちたとなれば、キムラスカは二の足を踏むだろう・・・だがモースがアクゼリュスを消滅させる事をためらいなく決めたこともあるが、ホドの時に神託の盾を介入させて戦線を大きくかき乱したこと・・・それも今となっては預言に大きく関わるような事だったのだろう、大方ホドが消滅するといった中身辺りの預言のな」
「そ、それは・・・」
「違う、と言いたいのかもしれんがアクゼリュスの事は少なくとも事実だ。そしてそう考えるとパダン平原が落ちてでもキムラスカが戦争を続けるとなったなら、十中八九モースが進言をしただろう結果でもあるが同時にキムラスカを勝たせる為にいかなる手を使ってでも神託の盾を介入させてくる可能性が極めて高い・・・そうなればもう取り返しはつかん。それこそキムラスカとマルクトのどちらか、更にはキムラスカに付いたダアトを含めて滅ぼす以外に戦争を終わらせる方法はない」
「！？ダアトを滅ぼしてまでって、何故そこまで言うのですか！？」
ピオニーはその様子に構わず話を掘り下げていくが、マルクトがダアトまで滅ぼす展開も有り得ると口にしたことにたまらずイオンは叫んだ。そんなことされる理由などないと言わんばかりに。
「・・・この際だからハッキリ言うが、導師は除外するにしてもその段階になればもうダアトという組織を信用するとかしないとかの段階を遥かに過ぎ去ってしまっている。それにマルクトとしての立場から言っても預言で滅びろと言っただけでなく、行動でまで示してきた相手に何故こちらが躊躇わねばならん・・・分かるか、導師？そうなったらもうダアトも無関係じゃいられないんだ。戦争をすると預言に詠まれたのは二国だけ・・・そういった言い訳からはな」
「！！」
ピオニーはそんなイオンに容赦なく告げ、たまらず青い顔でたたらを踏ませる程に動揺させた・・・戦争になったなら確実にダアトを滅ぼしにかかる。そう本気だと否応なしに理解させたことで。










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