事態は予想出来ぬ道へ向かう

「・・・もう話は終わったなら戻るかい?まだ何かあるならミュウのいない今のうちしかないと思うけど・・・」
「・・・そうだな、戻るか。後戻った時に何か聞かれたら適当に俺に付き合って剣術の訓練をしてたって言ってくれ。ガイがいないから他に俺の事を聞いてきそうなのは誰もいないと思うけど、念の為さ」
「うん、そうするよ。じゃあ戻ろうか」
「あぁ」
そしてこれで話を終わるのかと聞くクレスにルークは念入りの対応についてを口にしてから、共に宮殿の方へと戻っていく・・・



・・・そして宮殿の用意された部屋に戻ったルーク達に何も起こることなく、表向き何も変わったことなく過ごしていた。その一方でティアはと言うと・・・
(陛下達の予想だとこの数日の内に戦争になると見ているとのことだけど・・・それまでに二人の事をどうにか説得しないと・・・私達に付いてくるように・・・!)
部屋で一人執念の炎を目に灯しながらガイとアニスを同行させようという考えを抱いていた、諦めなど一切浮かべる様子もなく。
「「「「・・・」」」」
・・・ただその姿は傍目から見ていて何か考えていると言うのが一目で分かることから、女性用部屋として部屋が使用されていた為にナタリアを除いた女性陣から怪訝な目を向けられることになった。当のティアは全くその視線に気付かない形で・・・















・・・ルークとティアの二人の時間の使い方に如実な差が現れる中、時間は進み夜深くになる。



「・・・そうか、ルークがそんなことを・・・」
「それに比べてティアは流石に、ね・・・あそこまで自分の中にある物を大事にして、私達の方に目を向けないとは思わなかったわ・・・」
「・・・今までの旅である程度は知ってはいたけど、ここまで酷くなるとは思っていなかったな・・・」
宮殿の外でユージーンにジュディスにクレスが輪になって話をし、その輪の中にルーティにアニーにヒューバートがいる・・・これは前者の三人が話をするべきだとアドリビトムの面々にだけ分かるように歩み寄り、話をするために代表を決めて夜に集まるとしたからだ。この話の中身については翌日にルーク達に聞かれないようにしながら各人に話すようにする形で。
「・・・まぁティアについては後にしとくとして、ピオニー陛下はどう言ったの?ユージーン」
「それについては問題ない。こちらのやることに納得してくれた・・・かなり難を示したというか、苦渋の様子ではあったがな」
「・・・まぁその気持ちは分かるけどね。現に私だってあんまいい気分はしないんだし・・・」
次にルーティがユージーンにピオニーの事について聞くのだが、悩み抜いた結果との返答に重く受け止めてしまう。いや、正確にはルーティだからこそ気持ちが重くなった・・・と言った方がいいだろう。
「・・・そういうことなら当面の問題としてはルークさんとティアの対応についてでしょうが、対応を誤ればまずいのは間違いなくルークさんの方でしょうね。クレスさんの話の印象では僕達を疑っていると言うか、僕達を信じたいからこそこちらの妙な点を気にしてくると思います。クレスさんの人柄で助かったという点もあると思いますが、今後の事を考えると僕達も油断は出来ないでしょう」
「・・・正直、アニスの事について詳しく聞かれたらまずかったよ・・・あれ以上追求されてたら誤魔化せてたのかちょっと危なかったって思ったし・・・」
「・・・何となく踏み込みきれてない感じはするけど、少なくともこっちを嫌って近付こうともしないティアよりはルークの方が厄介でしょうね・・・私達の狙いを知られる可能性について考えると」
そこでヒューバートが話題転換とルークが自身らに対する目の危うさを口にし、クレスが実は危なかったとホッとしたような感じになる姿にルーティも気を取り直して真剣に同意する。









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