事態は予想出来ぬ道へ向かう

「・・・でも確かにルークの言う通りだよ。僕があんな風に言ったのは皆の間で話をしたからだ」
「・・・それを俺に言わなかった理由は?」
「単純に言うと、それを言う時間がなかったんだ。昨日ダイクロフトに戻った時に色々話し合ったんだけど、それをルークに話すには戻ってきた時には寝てたしガイもいたからどうにもタイミングがね・・・」
「そうか・・・(確かに昨日からの流れを思い返すと納得は出来るけど・・・だからってクレスがあんなことを普通に言えるって事自体、おかしいって思うのはどうしても拭えない・・・これは俺が考えすぎなだけなのか・・・?)」
クレスはそこから話題を戻して返すが、その中身は自然であるのにとルークはまだ疑心が離れない事に不安になる。
「あの、ルーク・・・話はそれだけかな?」
「あっ、いや・・・そのついでみたいな感じになるけど、他にダイクロフトでどんな話があったんだ?(皆を信じないなんて事はしたくはないけど・・・俺と皆の考えが行き違いになるようなことは避けたいからどうにか話を聞かないと・・・)」
だがすぐにクレスから質問が来て慌てて答えつつも、内心で冷静に努めようとする・・・疑いたくはないが、可能性を否定するべきではないと苦いながらも言い聞かせるように。
「・・・それについてだけど、話をする前に言っておく。これからする話に関してもそうだけど、ルークは僕達がやろうとしていることに関しては極力関わらないというか・・・何も知らないみたいな形で通してほしい。そして他の人に言うようなことも絶対にしないでほしいんだ」
「えっ・・・?」
だがクレスが真剣でいて意味深な事を口にした事に途端にルークは戸惑いを浮かべる。
「どうしてそんなことを・・・?」
「・・・今から僕が話すことを聞いたら分かると思う。それでそれから君の考えを聞かせてほしい・・・僕達の考えについてどうしようかと思ったかを」
「・・・わかった」
そんな姿にクレスが更に真剣に話をする様子にルークも覚悟を決めて頷いた、まずは話を受け入れると。


















「・・・というわけだ」
「・・・っ・・・!」
・・・そしてクレスからどういう話をしたのかと聞いたルークだったが、その表情は愕然とした形で静止してしまっていた。
「・・・やっぱり衝撃だったかい?」
「・・・それは、そうだよ・・・まさか、そんなことを皆が考えてるなんて・・・」
「・・・僕も出来るならそういった事にならない方がいいとは思っていた。けどもう状況が状況だから、こっちも決断しなきゃならないってなったんだ・・・ヴァンさん達がアクゼリュスを無理矢理にでも落とすなんて、ほとんど皆もそこまで考えてなかったからね・・・」
クレスが静かに確認を取るとルークが少しうなだれ気味に重く答えるが、自分も意外でいてかつ純粋な本意でないと口にする。
「でも・・・ルークも分かると思う。今の状況じゃどうやったって戦争を止めることが出来ないだろうって事は」
「っ・・・それは、分かるよ・・・今キムラスカに戻ったって戦争を止められないどころか、殺されるのは目に見えてる・・・けどそれで本当にいいのか?そうしたら・・・!」
「それはいいっこなしだ、ルーク・・・君は以前のような関係をティア達に求めず、今もそれを貫いている。僕達もそれに倣って行動するまでだ・・・それに今更彼ら、特にティアとルミナシアでの時と同じように出来るとも思えないしね・・・」
「っ、それは・・・」
しかしと話を戻すクレスにルークはティア達との仲についてを危惧するよう声を荒くするが、横に首を振りながら寂しげに漏らした声にうまく返せずに視線を反らす・・・今のティアとクレス達が仲良くなるのはまず不可能と、今までの旅からそうとしか思えなかったために。









19/24ページ
スキ