事態は予想出来ぬ道へ向かう

「・・・分かった。こちらは構わんが当人達はどうだ?今の発言は今思い付いた物で二人はどうかまでは聞いてないと思うが」
「・・・私は、それでいいです」
「・・・俺もそれで構いません」
「そうか・・・ならお前達二人は謁見の間を出たら入口付近で待機していてくれ。別室を用意する」
「はい、ありがとうございます・・・」
ピオニーはそこから二人に確認を取るとどちらも暗く重い表情で頷く姿に了承を返し決定する。二人を保護する旨を。
(何て事を・・・!・・・いえ、落ち着きましょう。この場で揉めるのは流石にみっともないわ。それよりもまだここにいるのなら、何かキッカケがあれば二人を説得して連れ戻す事も出来るわ・・・ピオニー陛下の話の感じだと数日はここにいないといけないようだから、時間はあるし・・・)
その光景にティアは内心で一度反対しようとしかけるが、すぐに思い直す。まだ取り返しはつけれると。



(とりあえずはこれでいい、とは思うけど・・・やっぱり何か不自然だ・・・アニスの事と言い、今のクレスの発言と言い・・・俺の知らない所で皆が何か動いてるのか・・・?)
一方でルークは一連の流れが不自然と、アドリビトムのメンバーに対する疑心を浮かべていた。特にクレスの発言は常日頃の彼からすれば、どうにもおかしい物であったために。
「じゃあ他に言うことがないなら下がってていいぞ。また何かあればこちらから呼び掛ける」
「はい、ではこれで失礼します」
(退出か・・・ここを出たらすぐに皆に何を考えてるのか聞き出さないとな・・・)
それで改めて用がないなら出るように言われイオンが頷いたのを皮切りに皆が外へ足を運ぶ中、ルークは早速行動に移すことを決める。






・・・それで謁見の間から出てガイとアニスの二人と別れ、部屋へと戻ってきたルーク達。
「・・・なぁ、ちょっといいか?」
「何かな?」
「話がある、ちょっと外に出・・・ってその前に、お前はここで待ってろ」
「僕も行くですの!」
「あんま聞かれたくない話なんだよ。それにすぐ終わっから待ってろ」
「はいですの・・・」
すぐにクレスに話を切り出すルークだが足元のミュウに有無を言わさない命令を下し、シュンと了承をさせる。
「んじゃ行くぞ」
「うん・・・」
そしてそのままルークの言葉でクレスはその後に付いていき、部屋を出ていく・・・












「・・・ま、この辺りでいいか。変に外にまで行くと皆に何かって言われかねないしな」
「うん、それで何の用なのかな・・・?」
それで二人が来たのはグランコクマの街中の角で、ルークが立ち止まり振り返った事にクレスは用向きを問い掛ける。
「いや、さっきの謁見の間で気になったんだけど・・・ガイとアニスを向こうに任せる時にクレスがあぁいう風に言ったこと・・・あれが不自然に思えたんだ。クレスがあんな風な言い方をするのかってさ」
「あんな言い方って・・・」
「クレスらしくないって意味だよ・・・もしかして何か皆の中で話し合ったのか?俺のいないところで、何か皆だけで話し合ってそれでそうするために行動してるんじゃないのか?だからあんな事を・・・」
「それは・・・」
そこからルークはまっすぐに問い掛ける、先程の発言はアドリビトムメンバーの総意かと。クレスは自分を見据えるその視線に目線を反らして言葉を濁しかけるが、勘弁したよう寂しげに笑い頷く。
「・・・まいったな、僕らしくないって言われるなんて・・・もうちょっとしっかりする必要があるのかな、僕・・・」
「いや、そういうことじゃないって・・・クレスはしっかりしてて、ただクレスらしい言い方じゃないってだけだから・・・」
それで自分の過失を悔やむようなクレスに慌ててルークはフォローに入る。言い方がちょっと間違ったと。








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