事態は予想出来ぬ道へ向かう

「ではティアはどうだ?話を聞くとヴァンの行動についてはある程度前から知ってはいたようだが、何かないか?」
「っ・・・それは、兄さんが外殻大地を落とすと言ったことは聞いたことがあるんですが・・・それ以上の事は詳しく中身を知ってるかと言われると、どうにも・・・(・・・情けないわ、今は戦争を避けるためにも情報が必要な筈なのにハッキリと有用な答えを返せないなんて・・・)」
「そうか・・・」
続いてピオニーがティアに対して質問をするのだが、下手な事は言えずに内外共に頼りない声を漏らす姿になんとも言えないように目をつぶる。
「・・・まぁそれなら仕方無いが、導師達は他に何かないか?この際だからヴァンやモースに繋がる情報だったら些細なことでも何でもいい。教えてくれると助かる」
「「「「・・・」」」」
ピオニーはそこからルーク達に向けてなりふり構わずといったよう問い掛けを投げ掛けるが、各々が各々表情を変えながらも何も言えずにいた。



(・・・今の状況じゃ俺が師匠達のやろうとしてる事を全部じゃないにしても、変なことを言ったら確実に怪しまれるんだよな・・・つーかそもそもずっと屋敷にいたって立場を考えると俺が、何かを知ってるってのはおかしいとしか言いようがないからな・・・)
その中でルークも内心でティア同様自身が言えないことに苦い気持ちを抱くが、事実を言った時にティア以上に不自然さが出ることを確信しているためにそれこそ何も言えないと感じていた。
(ただ、そう不自然じゃない形にってんならガイに師匠の事を明かしてもらうのが一番妥当だけど・・・そうするってことは=ガイ自身の事にガルディオスの事も明かすって事だから、言いにくいこともあるんだろうけれど・・・それ以上に復讐の事も頭に少なからずあるから、今の立場を失いかねないことを言いたくないんだろうな・・・下手すると師匠に繋がってるのかとか、戦争を幇助するみたいに言われて捕縛されることも有り得るし・・・)
その中でガイが言ってくれるならと思いはするが、無理だろうとルークは考える・・・様々な想いがあって、それらを白日の元に晒すにはガイの覚悟はないということは確かだと。
「・・・すまんな、唐突に。今日はもう下がっていい。本当ならどう対応するべきかをまだまだ話し合うべきなんだろうが、今の状況ではキムラスカがどのような返答を返すのか・・・それがハッキリしない状況ではあまり意味がないだろうからな」
「・・・そう、ですか・・・」
それで誰からも何も言葉が出てこない事にピオニーは仕方無いと話を切ることを口にし、イオンは口惜しいとばかりに暗い声で何とか返す。
「ただ何かあるというなら後で謁見の間でも俺の私室にでも訪ねてきてくれ。この場でなくとも何か情報があるというなら受け付けるように兵士には伝えておくし、何か要望があるというなら遠慮なく言ってもらって構わない」
「あ・・・だったらすぐですみませんが、いいですか?」
「なんだ?」
「その、アニスとガイの為にこちらとはまた別の部屋を用意してもらえませんか?」
「えっ・・・!?」
しかしとピオニーは解決の為に自身らの間口を広めることをせめてと口にするが、クレスがおずおずと発言した言葉にティアが驚きに声を上げた。何故今そんなことをとばかりに。
「・・・どういうことだ、一体?」
「簡単に説明すると二人はこのまま一緒に行動するのは迷いがあって出来ないと言ったんです。それでこちらで二人にはゆっくりと静かな所で待機してもらいたいと思ってこう願い出たんですが、ダメでしょうか?」
「・・・まぁ別にそれくらいなら引き受けても構わんが、ダイクロフトでは駄目なのか?」
「出来ないこともないんですが、二人が迷っていることからもし付いていくとか地上に戻りたいとなった時に一回一回ダイクロフトを移動するよりはグランコクマにいた方がいいのではと思ったんです。それに何かあって行き来の為に装置を起動させるにしてもこれからの事を考えるとダイクロフトを動かさないといけない場面もあると思いますから、その時に安全な場であったり思い通りの場所に行き来出来るとも限らないので・・・」
「・・・成程、思い通りはともかくとしても安全かどうか分からんのは確かに怖くはあるな。そうなるくらいならグランコクマにいた方が確実と言えば確実だな。身の安全の為には」
ピオニーも何故そうしてほしいのかと訳を聞くのだが、詳しくクレスから話を聞いていく内に納得する。二人の事情も併せて、ダイクロフトに二人がいない方がいいという理由について。







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