事態は予想出来ぬ道へ向かう

・・・そしてルーク達は謁見の間へと入った。



「・・・来たか」
「はい、それでどうしたのでしょうか?何かキムラスカから連絡でも来たんですか・・・?」
ジェイドを横につけて玉座に座るピオニーが固い表情でいる姿に、イオンは不安を滲ませながら予想を口にする。
「いや、まだそれはない。流石に昨日の今日ですぐにというほど向こうも体勢を整えてはいないだろう。どちらにせよ数日内に向こうから何かアクションしてくるとは思うがな」
「そうですか・・・ではどうして私達を呼んだんですか?」
「いや・・・昨日俺達は俺達でどうするべきかという話し合いをしたんだが、正直な事を言うとこちらからアクションが出来んという事しか出てこなかったんだ。こちらから手紙は出したがその返答を待たないとならないということもあるが、かといってもしもの事態に備えて国境辺りを固めるにしてもそこまでだ・・・結局それから先の事が出てこない。そこでだ・・・アッシュでもティアでも誰でもいい。ヴァン達が何をやるかについての最終的な心当たりはないか?」
「何・・・?」
「陛下・・・?」
そんな声を否定しつつも苦い事情を明かしながら話を進めていくピオニーだが、いきなり名前が出てきたアッシュとティアは怪訝な顔になる。
「・・・少し言いにくいことではあるが、アッシュの代わりにとルークをファブレに置いたのはヴァンなのだろう。だがそれは本来ならダアトと言うか預言保守派の望むべき事ではないはずだ。預言達成の為に代理を立てるなどな・・・だからこそヴァンが預言保守派と違う目的を持っていると言えるのだろうが、最終的な目的という物が分からんのだ。預言保守派と後々同調するのか、それともまた別の何かを狙っているのか・・・そう言った物がな」
「・・・だから二人というか、私達にヴァンの目的を聞いたと?」
「あぁ。やれることが限られている今、せめて動機だとか目的くらいは察したいと思ってな。ジェイドから話は聞いて預言保守派と目的を同じとするとは思えんが、これからの事を考えれば少しでも情報が欲しいんだ。何か突破口が開けるかもしれないからな」
「そういうことですか・・・」
(あぁ~・・・確かにこれはピオニー陛下としちゃ必要な事だよな・・・マルクトとしてどう動くかって指針を決めるのは・・・)
それでピオニーが自身らの苦い内情を明かしイオンも納得する中、ルークもそっと内心納得していた。



(どうしたものかしら・・・確かにピオニー陛下の気持ちとして情報は必要なのだろうけれど、どこまで明かしていいの?流石に今の状況では何も言わないというのはまずいというのは分かるけど、かといって明かしていい情報とそうでない情報が今の段階だとあるし・・・)
そしてティアはこういった場であるからか冷静な気持ちを取り戻すが、同時に悩んでもいた・・・確かにティアはヴァンのやろうとしていることの全貌は知っているが、かといって大袈裟にエルドラントを造る段階まで話してしまえばアッシュすら知らぬ事情を何故知っていると言われかねないのだ。そうなったらあらぬ疑いをかけられる可能性がある・・・そう思うと、ティアはどこからどう話せばいいかと考えざるを得なくなっていた。
「・・・俺もヴァンの奴が何を最終的な目的として動いているか、そこまでは知らねぇ。だがヴァンはモースの事を利用し、モースはヴァンが何かをしていても自分に従えば大したことはないと見て放っている・・・似たような事を言っているとは思うが、ヴァンからしてみりゃモースは単に利用してるだけだ。表向き従っているだけでな。それは間違いねぇ」
「成程・・・ヴァンとモースの目的は一致していないということか・・・いざとなればヴァンはモースを盾にしこそするのだろうが、それが分かっただけでももうけものか・・・」
そんな時にアッシュがヴァンとモースの関係についてを口にし、ピオニーは満足とはいかずとも頷く。事態の解決への決定打となるような情報とは言えないが、確かな情報ではあったために。










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