かつての始まりは既に変貌している
「ちょっと気になったのだけれど私達には関係ないと貴女はそう言った・・・けどさっきの彼とのやり取りはお世辞にも仲が良さそうには見えなかったのだけれど、どうしてそう彼に突っ掛かるのかしら?もし彼が貴女とこのエンゲーブに本意でいるのならそれもそれで問題だとは思うけれど、本意でないのなら尚更問題だと思うわ。だって彼はここにいてはならない存在の筈なのにその立場に気持ちを貴女は慮る事なくたしなめるというより、ただ気に入らないから反目しているという風にしか見えなかったのだから」
「!・・・私はそんな気持ちで言ってなんかいないわ!ただ彼が勝手に話を進めるから変なことにならないようにって言っているだけよ!」
「だったらもう少し優しい言い方があると思うのだけれど、どうかしらヒューバート?」
「ジュディスさんの言う通りだと思いますよ。と言うよりは少なくとも軍属の人間が取る態度として些か不適切だと僕は思います」
「・・・え?」
それでティアの態度が自分本意とジュディスはそう見えると言うと、カッとティアは顔を険しく一瞬で変えて反論する。だがジュディスがヒューバートに話を振るとティアはキョトンと目を丸くした。軍属の人間として不適切と言われて。
「分かりませんか?国に仕える兵士の本分とは出自に貴賤、果ては役割とあれば敵国ですら問わず人々を守り助ける事にあります。ただその役割にあぐらをかき、貴族などには媚びへつらい民には横暴な態度を取るような下種な兵士もいますが・・・貴女はそれに当てはまっているように僕は見ています。力に知識があるから自分が上に立つのは当然なんだと・・・いえ、少々訂正します。ファブレという大貴族に対して媚びへつらわないという意味では、貴女はあの人が貴族であることや身分など知ったことではないとすら考えているようにも僕は思えましたね」
「!・・・っ・・・」
眼鏡を押さえながら告げたヒューバートの容赦のなく、ティアに当てはまる言葉は確かにティアの心を穿った。否定をしたいが出来ない・・・ティアはその言葉に悔しげに歯を噛む以外に出来なかった。
(何よ・・・貴方達に分かるわけないじゃない、ルークと私の事なんて・・・!・・・けど彼と私は一緒にいるべきだって事細かにこれからの事を言ってしまったら、ただの危ない女になるじゃない・・・)
その心中でティアは反発したいが出来ないそのジレンマを抱えて苛立っていた。
・・・ティアからして、こうやってルークと共にいてこれから世界を救う一行に名を連ねる事は確定事項だ。そこに貴族だからと身分の差を気にして遠慮だとかをルークに対してする気は更々なかった・・・例え誰に何を言われようとも自分はルークと共に生きることになるのだから、ヒューバートの言うような立場の違いなど些末な物だと。
だがそれでもティアなりのプライドや常識であったり、自分が過去に戻ってきた事は異質な物なんだと思うくらいの考えはあった。そしてその考えにルークに対する気持ちを加味して考えた結果、ティアは黙る以外になかったのだ。危ない人だと思われたくない。だから正直にその態度を改めない理由を言いたくない・・・そう言った気持ちがあったために。
(なんかジュディスがヒューバートって奴と普通に話してるの聞くと、やっぱ俺の知ってるアドリビトムのメンバーじゃないんだな・・・同じじゃあるんだろうけど・・・)
そんな中でルークは会話から感じていた。ジュディス達は名前に姿形は一緒だが厳密には自分の知るルミナシアのジュディス達と違うということと、それが故にかつてを思い出した寂寞の想いを。
(・・・でも立場の違い、か。改めてそう言うことを言われると今更って気持ちがあるんだよな、俺的に・・・最初の時はそれこそ初めからティアはあぁだったし、ルミナシアで会った時はティアはナタリアの護衛で立場を気にせずに俺に接してくださいってナタリアが言ってからそうなったし・・・んで俺もそれがティアの普通だったから、俺も普通に対応してたんだよな・・・)
その想いを振り払うようルークはヒューバートの言葉からティアの態度について思い返すが、以前の経験があるから気にしてなかったなと思い返す。
(多分昔の俺だったらヒューバートが言ったようなこと言われても堅苦しいのは嫌だとか、怒った時にその事を持ち出す程度だったんだろうけど・・・そう思うと俺どんだけ身分の事を分かってなかったんだろうな、その時・・・)
それで考えは自分がいかに何も知っていなかったかの考えに行き、軽くルークは自己嫌悪に陥る。当時は生きてきた年数の少なさがあったとは言え、色々と自覚のない言葉を平気で言っていただろうことを思い。
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「!・・・私はそんな気持ちで言ってなんかいないわ!ただ彼が勝手に話を進めるから変なことにならないようにって言っているだけよ!」
「だったらもう少し優しい言い方があると思うのだけれど、どうかしらヒューバート?」
「ジュディスさんの言う通りだと思いますよ。と言うよりは少なくとも軍属の人間が取る態度として些か不適切だと僕は思います」
「・・・え?」
それでティアの態度が自分本意とジュディスはそう見えると言うと、カッとティアは顔を険しく一瞬で変えて反論する。だがジュディスがヒューバートに話を振るとティアはキョトンと目を丸くした。軍属の人間として不適切と言われて。
「分かりませんか?国に仕える兵士の本分とは出自に貴賤、果ては役割とあれば敵国ですら問わず人々を守り助ける事にあります。ただその役割にあぐらをかき、貴族などには媚びへつらい民には横暴な態度を取るような下種な兵士もいますが・・・貴女はそれに当てはまっているように僕は見ています。力に知識があるから自分が上に立つのは当然なんだと・・・いえ、少々訂正します。ファブレという大貴族に対して媚びへつらわないという意味では、貴女はあの人が貴族であることや身分など知ったことではないとすら考えているようにも僕は思えましたね」
「!・・・っ・・・」
眼鏡を押さえながら告げたヒューバートの容赦のなく、ティアに当てはまる言葉は確かにティアの心を穿った。否定をしたいが出来ない・・・ティアはその言葉に悔しげに歯を噛む以外に出来なかった。
(何よ・・・貴方達に分かるわけないじゃない、ルークと私の事なんて・・・!・・・けど彼と私は一緒にいるべきだって事細かにこれからの事を言ってしまったら、ただの危ない女になるじゃない・・・)
その心中でティアは反発したいが出来ないそのジレンマを抱えて苛立っていた。
・・・ティアからして、こうやってルークと共にいてこれから世界を救う一行に名を連ねる事は確定事項だ。そこに貴族だからと身分の差を気にして遠慮だとかをルークに対してする気は更々なかった・・・例え誰に何を言われようとも自分はルークと共に生きることになるのだから、ヒューバートの言うような立場の違いなど些末な物だと。
だがそれでもティアなりのプライドや常識であったり、自分が過去に戻ってきた事は異質な物なんだと思うくらいの考えはあった。そしてその考えにルークに対する気持ちを加味して考えた結果、ティアは黙る以外になかったのだ。危ない人だと思われたくない。だから正直にその態度を改めない理由を言いたくない・・・そう言った気持ちがあったために。
(なんかジュディスがヒューバートって奴と普通に話してるの聞くと、やっぱ俺の知ってるアドリビトムのメンバーじゃないんだな・・・同じじゃあるんだろうけど・・・)
そんな中でルークは会話から感じていた。ジュディス達は名前に姿形は一緒だが厳密には自分の知るルミナシアのジュディス達と違うということと、それが故にかつてを思い出した寂寞の想いを。
(・・・でも立場の違い、か。改めてそう言うことを言われると今更って気持ちがあるんだよな、俺的に・・・最初の時はそれこそ初めからティアはあぁだったし、ルミナシアで会った時はティアはナタリアの護衛で立場を気にせずに俺に接してくださいってナタリアが言ってからそうなったし・・・んで俺もそれがティアの普通だったから、俺も普通に対応してたんだよな・・・)
その想いを振り払うようルークはヒューバートの言葉からティアの態度について思い返すが、以前の経験があるから気にしてなかったなと思い返す。
(多分昔の俺だったらヒューバートが言ったようなこと言われても堅苦しいのは嫌だとか、怒った時にその事を持ち出す程度だったんだろうけど・・・そう思うと俺どんだけ身分の事を分かってなかったんだろうな、その時・・・)
それで考えは自分がいかに何も知っていなかったかの考えに行き、軽くルークは自己嫌悪に陥る。当時は生きてきた年数の少なさがあったとは言え、色々と自覚のない言葉を平気で言っていただろうことを思い。
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