事態は予想出来ぬ道へ向かう

(アドリビトムの皆が何かしたってんなら何をしたって言うんだ?・・・いや、まだ皆が何かしたとは限らないだろ・・・もしかするとティア達か、可能性は低いけどマルクトの人達の事を言ってるのかもしれないし・・・)
だが自身の中に渦巻く疑念と皆を信じたいという願望が入り乱れてしまい、ルークは否定したいという気持ちを抱く・・・もしティアがルークの立場にいたとしたらやはりと一層アドリビトムの面々を敵視してどんな手を使ってでも排除に取り掛かろうとしただろうが、自分の事を想ってここまで来てくれたという負い目がルークの心に大きくのし掛かっていた。
(それに今から確かめようにしたって皆寝てるだろうし、この話をする時にティアがいたら確実にこじれるだろうしな・・・明日時間を見て、アニスと一緒にガイもマルクトで預かってもらってから探りを入れよう・・・それに俺もそろそろ寝た方がいいだろうし、な・・・)
それでも冷静に努めようと必死に頭を動かすが明日に持ち越す以外にないと考え、宮殿の方へと足を運んでいく。少し重くなった足取りで・・・


















・・・そして部屋に戻ったルークはベッドに入るなりすぐに寝付き、気付けば朝食の時間にまでなっていた。

それでガイの空気が昨日から引き続き重いという事もあって静かに食事が進められていった。



「・・・朝食は済んだな。後はピオニー陛下からの呼び出しを待つくらいだが・・・」
「・・・ごめん皆、ちょっといいかな?」
「どうした、クレス?」
一通り食事も終わってウィルが人心地ついたといった様子になって言葉を漏らす中、ドアを開けて入ってきたクレスに視線が集中する。
「少し宮殿の外に出てもらってもいいかな?・・・昨日の夜アニスは帰ってこなかったんだけど、さっき戻ってきたんだ。それでなんだけど、ティアと揉めるような事になったら宮殿の中の人達に騒いでるって迷惑をかけるかもしれないから、外に出て話をした方がいいんじゃないかって出てきたんだよ」
「成程、昨日の話から考えるとあながち有り得ん事ではないか・・・皆はどうだ?」
「俺はそれでいいと思うけど・・・」
(アニスが帰ってきた、か・・・皆に何かあるんなら昨日の言葉はなんなのかって事になるよな、アニスが皆を頼るっておかしくなるし・・・)
そこでクレスがアニスについての事情を口にしていく様子にウィルが納得してアスベルを始めに皆が頷く中、ルークもそっと頷いておいて内心考える。アニスが指したのはアドリビトムの面々ではないのではと、少なくない願望も含めて。
「・・・よし、なら外に行くか。陛下も流石に朝早くからは呼び出しはしないだろうが、いつ呼び出しがかかるか分からんから早めに済ませておいた方がいいだろう」
「そうだな、じゃあそうするか」
そんな中で確認が取れたことでウィルとアスベルの声に場にいた皆が外へ出ようとするが、ルークはふと動かないガイに気付いてそちらに近付く。
「・・・ガイ、ここで待ってるか?」
「・・・いや、俺も行く。多分、その話し合いが終わる位には陛下からの呼び出しもありそうだしな・・・」
「そうか・・・んじゃ行くか」
「あぁ・・・」
そのまま気を使って残るか聞くと気をなんとか持ち直したと言ったよう返すガイに、ルークは止めることも追求もせずに歩きだしその後をガイは力ない足取りながらもながらも付いていく。












・・・そして宮殿の前の広場にて、アニスを中心として円状に広がるようルーク達は集まった。








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